・3月23日(土)10:30開演(終演21:00予定)
・住友生命いずみホール(大阪城公園,城見1丁目)
・昨年6月にも自分のリサイタルを今福音楽堂で
昨年度の「あおによし音楽コンクール奈良」の
一般部門・金管楽器において第2位を受賞され
ました。たゆみない研鑽の成果です。そして、
各部門での多くの受賞者の一人として、この度
大阪では素敵な、あのいずみホールで受賞記念
の披露演奏会に出演の予定です。総数60余名に
及ぶ受賞者の出演なので、演奏時間は限られて
いますが、この日のために彼が用意した曲目は
僕の旧作;
・ユーフォニアムとピアノのための幻想曲
「うるわしきもの流れゆくなり」(1990)
です。八木重吉の短い詩稿によるソナタ形式の
作品、これまで幾度も小野氏が採上げて公演し、
今では完全に、彼の心そのものになっています。
彼が舞台に立つ本番の時刻は17:20の予定とか、
その頃を見計らって、僕も聴衆の一人として演奏を聴きに行くつもりです、ご成功を祈りつつ。
・3月6日(水) 午後7時開演
・兵庫県立芸術文化センター・
神戸女学院小ホール(阪急西宮北口)
・われわれ日本歌曲関西波の会の顧問となって
頂いている青山恵子さんは「日本歌曲の実践
的研究〜伝統音楽との接点」というテーマで
声楽の分野では日本初の博士号を取得された
貴重なメゾ・ソプラノ歌手です。このたび、
ソプラノの三縄みどりさんとのジョイントの
形で、神戸と(秋の)松山で演奏会を開催され
る運びとなりました。ピアノは秦はるひさん、
年来の、心許せる東京藝大のお仲間と、お見
受けします。
・「今、燦キラめいて」と表題され、前後2部か
ら成る公演、全体の構成や選曲にも出演者の
こだわりが感じられ、ありきたりの日本歌曲
を並べたような舞台とは異なって、聴き易く
しかも清新な日本歌曲が揃えられている感じ‥‥‥とても興味をそそられる構成内容です。
・前置きが長くなりましたが、このジョイント演奏会の中で、僕の旧作の女声二重唱曲が採上
げられることになり、青山さんから過日ご連絡をいただきました。
・二重唱「花あかり」(1992)(詩・相馬梅子) 春の到来を告げるこぶし(辛夷)の花を幻想的に
歌った内容で、作曲当初はかなり多くの友人が歌ってくれましたが、その後に作曲した「月
に寄せる子守歌」(2004)(詩・貞松瑩子)が出版されたのを機に、「花あかり」は忘れられた
ように30年もの歳月が経ちました。5分に達しない小品ながら、声とピアノが三つ巴になって
頂点に到達する部分や、2声が「語り」で対話する部分など、歌手にチャレンジして頂く要素
もある作品ですが、僕自身はこの曲を密かに大切にしていて、2018年に出版した「千秋次郎
歌曲集2」には、忘れずこの作品を、曲集に収録しています。 今回の公演において、記念すべ
き演奏記録が残されることを、心から期待しています。
]]>・前トピックに続き、もう1冊の新刊楽譜‥‥
・(2) ソプラノと筝のための「馬酔木」(2006)
(Ashibi Flowers) (詩・佐久間郁子)
・天武天皇第3子・大津皇子オオツノミコは人望の
高い皇子でしたが幼時に母を亡くし、血族は
伊勢神宮に仕える姉の大来皇女オオクノヒメミコ
だけでした。父の死後、皇位継承の陰謀に巻
き込まれ、密告によって謀反人とされ、僅か
24歳で妻と共にみずからの命を断ちました。
西暦686年の出来事です。雄岳と雌岳が大和
の国境に並び立つ美しい二上山別名フタカミヤマ
山頂に彼の墓所があり、参詣者が絶えません。
・3首の短歌を中核とする佐久間郁子さんの清冽
な詩文は、自分の命運を知った彼が密かに大和
から、伊勢にいる姉に最後の別れを告げに行った
という伝承をもとにして構成された鎮魂の哀歌、孤独な血族の情愛が胸を打つ、現代筝歌の起伏
を、早春の頃に白い小花が下を向いて夢のように咲くアシビに寄せて、Sop・丸山夏季さん、
筝・彩里京鼓さんによる息の合った演奏で、CDに収録しています。→マザーアース株式会社
・「大津皇子を偲んで」(Lamento in memory of the Prince 0tsunomiko) という副題を添え
て、2006年に日本歌曲振興波の会の特別展に発表した作品でしたが、再演の機会に恵まれず
今日に至りました。前詞を伴う3首の短歌と、中間にはやや長い筝独奏(いわゆる手事)を
挟む典型的な筝曲の様式で書かれており、筝も多弦ではなく、手慣れた本来の13絃筝です。
]]>・昨年の秋にマザーアース社から出版された僕の
楽譜は、参考音源CDを添付した新刊2種に加
えて、既刊の楽譜に新たに参考音源CDを追補
した増補版が2種、以上4種類の楽譜がすでに
発売となっています。ご案内が遅れましたが、
逐次ご紹介しようと思います。まずは、新刊の
2種について‥‥
・(1) 筝とピアノのための「六段唱和」(2022)
(Six Steps Duo)
邦人作曲家による筝独奏のための(歌を伴わない)
器楽曲の嚆矢とされている「六段の調べ」は、
元禄時代に八橋検校によって作曲された、邦楽
の歴史における聖なる古典、とも呼ぶべき名作
です。そしてこの曲に対して、もうひとり別の
演奏者が別の筝で合奏を試みる、替え手という
「雲井六段」のような取組みも、古来より行わ
れ、この曲の魅力を高めています。
・「八橋検校に寄せて(A Tribute to Yatsuhashi-
Kengyo) 」という副題のついた、この譜面「六段唱和」は同様の発想をもとに、八橋検校の
原曲はそのままに、これにピアノが加わって和洋合体のセッションを試みるというスリリング
な内容の音楽です。もともとは筝とハープのための二重奏曲として1985年に作曲したもので、
初演後も幾度か再演されていますが、最近になってハープのパートを軽めのタッチのピアノで
演奏してみたところ、これはこれで、ややクールな情感がとても面白く、今回の刊行に際して
部分的にピアノの語法に書き改めて、提供させていただく事にしました。ハープに似せる必要
はなく、筝の響きに呼応し合える豊かなピアノの表情を、ピアニストに期待しています。
・楽譜に添付されている参考音源CDは、筝・彩里京鼓さん、pf・飛澤直子さんの絶妙な重奏が
素敵です。ピアノが重くなく、しかも的確な表情で歌っています。→マザーアース株式会社
・なお、混乱を恐れずに言えば、マザーアース社からは、これとタイトルの類似した
フルート、オーボエ、筝のための「新唱六段」(2006)(Six Steps Collaboration)
という別種の楽譜も刊行されています。「六段唱和」の21年後に別の委嘱のもとに作曲した
管楽器とのトリオなので、全く別種の「より線的な音楽」を展開します。この曲については、
公開中のユーチューブ画像の事と合わせて、昨年のトピック[2308] でご紹介しているので、
別途ご参照ください。フルート、バイオリン、筝によるトリオでの演奏ですが、面白いです。
謹賀新年 コロナ災禍が一段落し、以前の日常が戻ってくる筈でしたが、平穏無事とは
とても言えない厳しい国際状況や、新年早々の能登大津波・大地震・被災者の方々の救出と
援護にいとまなく、日常が振り回される中で、ともかくも6年目の令和がスタートしました。
僕自身については、昨年秋11月下旬まさに 89歳を越えたその頃、北大路欣也主演による
時代劇ドラマ「三屋清左衛門残日録」なるシリーズの有るを識り、初回から最新7回までを
CATV436にて通看、いささか感銘するところ多大でした。すでにご存知の事と思いますが、
昨年6月に、これまで務めさせて頂いていた「日本歌曲 関西波の会」会長の座を、力倆ある
テノール・河田早記氏に引き継いでもらう事となり、今は相談役、すなわち隠居の身となり
新年を迎えています。ドラマの中で、清左衛門がみずからの日記の冒頭に書き記している
「日残リテ 昏ルルニ未ダ遠シ」という標語‥‥僕自身の現在の気持ちを、ひたと言当てて
余すところ無しです。‥‥とうてい技倆・風格ともに及びもつきませんが、当年もまた細々
ながらも、思いを澄ませ歩を進める所存です。何とぞご支援よろしく! 千秋次郎
]]>・12月2日(土)午後2時開演
・ピッコロシアター小ホール(尼崎塚口)
・すでにトピック[2315]の冒頭で経緯をお伝え
したように、我々の関西波の会の新会員が増
えた事情もあり、今年は出演者が二手に分散
し、年2回の、性格の異なる2公演を行う試
みに挑戦しました。
・6月20日京都アルティでの第8回定期演奏会
に続いて、はや今週末に迫っている新企画の
「サロンコンサート2023」には、新入会員の
皆さんと、6月に出演されなかったメンバー
の7名が、やや手狭ながらもアットホームな
ミニホールで、皆様をおもてなしします。我
々の会では初お目見えとなる新会員の歌声も
聴きどころでしょう。
・今回の冒頭第1部に予定されているのが、僕
の作品で、7つの小曲からなる次の組曲です;
・抒情歌曲集「散歩の向こうに」(詩・きのしたみのる)
1.「こんなに寒い朝だから」(1988)
2.「落葉がくれた絵具で」(1988)
3.「散歩道」(1988)
4.「樹下のアトリエ」(1993)
5.「コスモスの道」(1989)
6.「やさしさの木の実」(1989)
7.「となりの村へ帰ります」(1990)
どれも3分前後の短い歌曲の集まりですが、たまたま出演者数が7名だったので、各自が
どれか1曲を歌うことにして、今回は7名の通しで1冊を歌います。実はこの曲、すでに
今年の8月に亀岡市のガレリア響ホールで、会員の片山映子さんが歌ってくださっている
のですが、この時は、緻密な解釈のもとでの通し演奏、素敵な好演でした。果たして今回
は、どのようなステージになるでしょうか、これもサロンならではの、愉しみの一つです。
・演奏会がある日の空模様は、やはり主催する立場からは気になるものです。この日は幸運
にも、快適な青空のもとで、お客様を迎えることができました。そして予定通り、午後4時
には終演となり、まだ足もとの明るいうちにお客様に引き取ってもらう事ができました。
考えてみると、80名ほどの小さな会場で我々が演奏会を持つのは、これが初めてだったかも
知れないのですが、歌い手にとっても歌詞が伝えやすく、和やかな会場の空気とも相まって、
新しい出会いと発見があり、この形での演奏会を、できれば今後も残してゆきたい思いです。
・一冊の歌曲集を、メンバーが1曲ずつ受け持って全曲を通奏する、という、今回の第1部の
目新しい試みも、とてもスムーズに流れてゆき、あっという間に全7曲を歌い終えました。
作曲者の僕としては、演奏者の皆さんの好演に心から感謝しています。そして自分にとっては
さらに嬉しかった事があり、今は故人となられた きのしたみのる先生の奥様が、この作品を
初演してくれた当時大阪芸大の学生だった大島良介氏とともに、当日の会場に臨席された事で、
35年も以前の、きのした先生がお元気だった頃の、佳き思い出を語り合うことができました。
]]>
・二重奏曲「風の歌・水の歌」(1978)
この曲はもともと、親しいハーピストのため
に筝とハープの二重奏として作曲し、出版も
され、そのような特異な楽器の組み合わせが
必要な時に、しばしば演奏されて来ました。
最近では2022年に、この中の第二楽章だけ
が単独で演奏され、ユーチューブに公開され
ましたが、密度の高い個性ゆたかな演奏で、
すでにトピック{2236}で紹介させてもらって
います。
・親しくしている田中静子さんが、最近になって
この作品を筝とピアノで演奏してみた試みを、
ユーチューブに公開されました。あくまでも
試演のつもりだったそうですが、聴いてみると
これがなかなか面白いのです。包容的な響きの
ハープのパートが、やや先鋭で理知的なピアノ
の響きに取り変わった事によって、三楽章構成
のソナチネの各楽章の個性(ソナタ形式・歌謡
形式・ロンド形式)が鮮明に浮かび上がり、我
ながら、すっかり自分の音楽の虜になりました。このように無理なく楽器の交代ができたのは
一つにはピアニスト・青木資子さんの見事な曲の理解力にあると、僕は思っています。第一楽
章の提示部第2主題に移る際の鮮やかな転換の呼吸、再演部へ戻りの必然性など、些細な采配
がとても自然です。筝を演奏している田中さんは、屈折の多い第二楽章の即興の部分で、自由
に個性を発揮しておられ、やがてそれらが、はしゃぎ過ぎず節度ある、活気に満ちたフィナー
レのロンドに結集する趣きが、結果的にはとても良くできていると思います。音量バランスな
ども問題なく、綺麗に仕上がっていて、ぜひ多くの方に一聴してみて頂きたいと思います。
・この映像に達するには、前トピックの場合と同じ要領で、
shizuko kotoチャンネル YouTube という文字列を検索し、そこから {動画}へ進んで
見つけ出してください。なおこの映像の背景は、自然写真などではなく、ステージでの
お二人の演奏録画です。
]]>
・今年6月20日松本市で開催された「田中静子
25絃筝コンサート」のことは、すでに先行
ブログ[2313} でご案内・ご報告を行なって
いますが、その時のプログラムとほぼ同じ曲
目による演奏会が先月10月7日に、安曇野市
に建つ安曇野高橋節郎記念美術館で公演され、
ご来聴の皆さまに共感を持って聴いて頂く事
ができたと、田中さんからの連絡で知りまし
た。そして、しばらくして、当日の収録音源
をベースに、自然風景が付加されたYouTube
の映像が公開となりました。
・公開された映像の中には、僕の曲が2作品、
どちらも上記松本市で初演した作品の再演で
すが、田中さんが選んだ清潔な桜花の風景写
真をバックに、演奏が流れます。
(1)フルートと25絃筝のための
「山桜譜」(2005/2023)
2003年に書いた「湖松譜」という曲と一対に
なるように作曲した、もともとピッコロと17
絃筝のための二重奏ですが、昨年になって部分的な拡大改定を行い、これで一対としての
バランスが取れるようになったようです。フルートと低音25絃筝で演奏した6月の松本公演
(改定初演)の時には、やや筝の響きが重厚すぎたので、今回は部分的に書き直し、標準的な
25絃筝で演奏して見ました。こちらの方が華やかな桜気分が味わえてベターかと思います。
ただ、心のこもった熱演には違いないのですが、会場の響きがデッドなので、やや音の広が
りに欠ける演奏になりました。いずれまたフルート塩嶋氏との共演で、次なる録音の機会が
やってくることを期待しています。
(2) 筝曲「鳥の歌・晏晏」(詩・高橋節郎)(2023)
・ 今回のコンサートの会場となった高橋節郎記念美術館の入口に置かれてるオブジェ(もちろん
高橋氏の作品)に記されている5行詩をもとに、羽ばたくような明るい筝歌(弾き歌い)に
曲付けして見ました。再演でもあり、田中さんがとても気に入ってくださって、伸び伸びと歌っ
ておられ、今後回を重ねれば、さらに充実した歌になると期待しています。
・以上の2曲、ユーチューブに到達するには shizuko kotoチャンネル YouTube という文字列
を検索し、そこから[動画]の項目へ進めばOKです。僕の邦楽作品で、田中さんが演奏されたナ
ンバーは、全てこのブロックに収まっているので、これからも訪問してあげてください。
]]>・11月14日(火)午後6時開演
・東京文化会館小ホール(上野公園)
・我々の日本歌曲振興運動の拠点とも呼ぶべき
東京の波の会、昨秋の第5回公演に引き続き、
今年も来月11月に、新作発表の催しとしては
新組織移行後の6度目の定期演奏会を、いつ
もの東京文化会館(小ホール)で開催の運び
となりました。
・今では単なる名誉会員の一人に過ぎない僕の
許に会から連絡があり、今回また僕の旧作を
一曲、当夜のプログラムに採入れてくださる
との事。思いがけないご厚意に感謝していま
す。それで、昨年度の「チェロの四季」同様、
過去の東京での初演で評価を頂いた次の歌曲
を、来たる14日に再演して頂く事にしました。
・「十七才」(詩・佐久間郁子)(1990)
・詩の内容については、今回のプログラムに記載
予定の、50文字紹介コメントが的確でしょう;
[‥‥すでに遠き明治・大正・昭和の三代、それぞれの時世に生を享けし乙女十七才の想いを
時節の歌に託して‥‥ ] 4節から構成される歌詞ですが、第1節は和風、第2節は洋風、
そして残りの2節は昭和ポップ時点での今風、といういずれも6行からなる各節を、それぞ
れの曲趣にまとめ、しかも全体が支離滅裂にならないよう統一を図るという大難題、果たして
解決できたかどうか、作曲者にとっても、まさにスリリングな一興です。
・ナーバスな日々が続いていたので、東京の空模様が心配でしたが、幸い雨も降らず夜分過ぎ
までは穏やかな晴れでした。いつも感心するのですが、今回も東京文化(小)が老若来聴者
の皆さんんで満席に近い盛会となりました。響きの良いホールで多くの皆様に聴いて頂ける
のは、提供するサイドからは至福のひとときです。演奏が終わって静寂の数瞬があり、その
後に続く拍手の興りかたで、いろいろな事がわかるのですが、今年もお二人の素敵な演奏で
多くの共感が得られたものと、今回も有難く思っています。
]]>
・10月27日(金)午後6時半開演
・京都府民ホールALTI (御所西、烏丸一条下ル)
・遠く1965年に創立され、今年58周年を迎える
京都生まれのフラワー・コーラスの皆さんが、
思いがけず、僕の合唱組曲を最初のステージで
歌ってくださいます。京都人にはお馴染みの、
虎屋さんや片山能楽堂と同じ並びのアルティで、
今週金曜の秋夕公演です。
・チラシにも「まだまだやりますコンサート」と
銘打っておられるように、大所帯の歌い手皆様
の大半が、相当の年期を積まれた”つわもの揃い”
と拝され(チラシではおぼろげながら)指揮の
富岡健先生のもとで、これまで熱心に活動して
こられた、その貴重な努力と研鑽の成果だと、
僕は感服・期待しています。
・指揮者・富岡健氏について、ご紹介が遅れました
が、以前、僕と同じ大阪芸術大学での同僚だった活動的な合唱指導の
メンバー、今回僕の曲を演奏していただく得難いご縁を、ありがたく感謝しています。氏の
音楽に期待して、実は一度も練習に立ち会っていないのですが、本番での仕上がりを心待ちに
待っているような次第です。ご成功を祈っています。
・演奏される曲目の紹介が最後になりましたが、京都の四季を歌った小川淳子さんの5篇の詩に
よる ・女声合唱組曲「京都・春から春へ」(1997)(作詩・小川淳子) です。26年前に
初演されて以来、幸いにも全国の多くの合唱団の皆さんによって採り上げられ、好評を得て来
ました。直近のところでは、昨年2022年のことですが、やはり在洛の女声合唱団/アンサン
ブル・フローラ(主宰・桐山都喜子さん)の皆さんによって再演が行われています(そちらの
ブログには、この作品についての補足解説も書かれているので、ご参照ください)。
・自分にとっては幾編かある「京都シリーズ」セットの中で、最初に手掛けた「春から春へ」‥‥
今から見ると、意気込みばかりが先立って、いまだ十分に合唱の響きが把握しきれていない
未熟な小節が、今も気になっているのですが、永年の経験豊富なる富岡健氏による解釈の宜しき
を得て、今の春から翌年の春まで、清少納言のひそみに倣い、ひととせの京の「四季めぐり」を
会場の皆様とともに、僕自身も会場で味わわせて頂こうと思っています。
・朝のうちは快晴で、何も問題は感じなかったのですが、午後からナーバスな空模様となり、僕が
すでに京都に移行していた午後4時ごろからは、激しい雷鳴を伴う夕立が襲来、午後6時からの
開場時間に聴衆の皆様が来ていただけるか、とても危惧しましたが、その後は小降りとなり、嬉
しいことに開場時間を待たず、大勢の皆さまが来聴され、開演の頃には座席がほとんど埋まる程
の大盛会‥‥やはり、創立されてから58年という歴史の積み重ねは凄いものだと感服しました。
・近年、どこの合唱団も会員が高齢化し、メンバー数が減少傾向とのことで、本合唱団も例外では
ないかと思うのですが、それでも総数30名近い団員の皆さまが、創立の中核人とされている原納
優子さまを中心に、力を合わせて頑張っておられ、包容力ある指揮者・富岡健氏の許で「心から
心への音楽」を紡いでおられました。終演後の打上げにも参加させて頂きましたが、ホットで率
直な家族のような盛り上がりでした。得がたいご縁を大切に、将来また僕の作品を採上げて頂け
る日が来ることを望んでいます。お疲れさまでした!
]]>
・8月20日(日)午後2時開演
・ガレリアかめおか響ホール(亀岡市余部町)
・われわれ「日本歌曲関西波の会」の古くからの
仲間の一人・片山映子さんが、気の合ったピア
ニスト・井上なおみ さんと共に、この夏8月に
ジョイント・コンサートを開催されます。京都
嵐山に隣接し、明智光秀の居城があった亀岡市、
僕の勝手な想像では、京に近い緑茂る山林都市
と言うイメージですが、現在お二人とも当地の
住人で、同じ亀岡市出身のサクソフォーン奏者
をゲストに迎えて「音楽の花束 Vol.3」と題し、
充実した”ふるさと公演” を予定されています。
・ソプラノの片山さんが、井上さんのピアノで歌
われる曲目の一つに、思いがけなく僕の作品が
採り上げられていました。7曲の小品から構成
されている組曲なのですが、
・抒情歌曲集「散歩の向こうに」(詩・きのしたみのる)(1988~1993)
・「こんなに寒い朝だから」「落葉がくれた絵具で」「散歩道」‥‥‥など、
それぞれの曲目は、初演以来それなりに再演されているのですが、7曲全曲の通奏再演は久しく
途絶えていたものですから、作曲者としても嬉しく、また、今は亡き詩人・木下稔氏へのご供養
にもなる事と感謝しつつ、会場に伺うのを僕も愉しみにしています。ご成功を祈りながら!
・いつもなら多少は、都会を離れた自然溢れる地方だったら、朝夕かすかに「夏の別れ」を感じて
も良い時節なのですが、いっかな今年の夏はこの亀岡の城下町にも炎暑が居座り、あまり快適な
小旅行にはなりませんでしたが、初めて伺ったユニークな市民センターでのコンサートは、演奏
者の知り合いの皆さんが多く、とても熱心な演奏会場の雰囲気が嬉しく、こういう種類の公演を
地元でレベルを落とさずにやれるのは、素敵なことだと感じました。ご盛会おめでとう!とても
良い気分で、会場を後にしました。井上さんが歌ってくださった、僕の7つの歌のセット。ただ
の一度も練習に付きあったことはなく、お二人の解釈に任せていたのですが、伴奏の井上さんの
ピアノが、詩の内容に対する抜群の解釈で、日本語の言葉がよく聞き取れる(これが何でもない
ようで、実は大変)片山さんの歌を見事に引き立てて、尋常な演奏ながら、心に残る素敵な舞台
となっていました。ご成功おめでとう!チャンスがあったら、ぜひまた二人のコンビで、僕の他
の歌も取り上げてみてください!キワモノではないけれど、ちょっとした佳曲を提供しますね。
・7月8日(土) 午後2時開演
・ザ・ハーモニーホール(小ホール)(松本市島内)
・松本市や諏訪市を中心に、20絃筝や25絃筝で
演奏活動を展開しておられる皆さんによって、
”二十絃筝ポプリ”というグループが結成され、
切磋と親睦を兼ねての充実した"持寄り演奏会"
がこれまで何度か開催されているのですが、
楽友・田中静子さんもメンバーの一人で、この
7月に開催された直近の演奏会では、数年前に
彼女によって初演されたペア構成の組曲が、
再演されました。
・二十五絃筝独奏のための「ふたつの秋の色」
(Twin Autumn Scenery)
第1曲/桜落葉 (2007)
第2曲/野菊路 (2009)
・作曲の経緯などについてはトピック[1727]に、
ユーチューブに配信された参考音源などに関し
ては、トピック[2208] の後半部分をご参照く
ださい。僕自身も当日の会場には伺えませんでしたが、深紅色vs淡紫色‥‥秋を彩る二つの
対比的な色、対比的な情感が、簡潔な二つの楽章となって、会場を満たしたことと想像して
います。この文章を書いている現在、僕自身は彼女のために次なる新曲に着手した処です。
・7月2日(日) 午後2時開演
・静岡市 冷泉山秘在寺ホール(葵区郷島)
・すでに先掲トピック{2310}でも紹介しています
が、開かれた寺院の本堂を会場にして、和楽器
による親しみやすい演奏会を、住職の武山博子
さんがお仲間と共に、定期的に開催しておられ
ます。今年4月に続いて、この7月には「七夕コ
ンサート」と題して、もと「わらび座」俳優の
永野修司氏を客演に招き、民話朗読のステージ
も加わっての、変化に富んだ企画を、実現され
ました。
・日程がつかず、本番には伺えなかったのですが、
有難いことに今回も、僕の旧作から次の2作品
を採り上げていただき、感謝しています。
(1) 二重奏「葉がくれの花」(1997)
(2) 二重奏「巷歌拾遺」(1982)
・お仲間の中に笛の名手がおられるので、上記2曲、
いずれも筝と笛とで無理なく演奏されましたが、もともと(1)は、洋楽器のオーボエと筝による
二重奏曲で、新古今和歌集の中の式子内親王の和歌「残りゆく 有明の月の洩モる影に ほのぼの
落つる 葉隠れの花」という想いを、 単一の楽章にまとめた作品です。また、(2)の原曲の姿は
クラリネットと筝のために書かれた4楽章からなる組曲で、7年前のトピック[1623} でも紹介
していますが、この曲の第三楽章では超独自の調弦による別筝を使うので、それだけのために
舞台に2種類の筝を用意しなければならず、再演の機会に恵まれなかったのですが、久々に原曲
通りの全楽章演奏を行っていただき、聴き手の皆様にも好評だったとの事、嬉しい限りです。
・10日ほど前に公演が終わった 小野康行氏恒例
の演奏会については、このブログでも二つ前の
トピックでご案内していますが、不本意な事に
その日僕には別の作品初演(松本市)が重なり、
やむなく小野氏の方を欠席するハメになりまし
た。‥‥幸いにも松本初演の弾き歌い箏曲も、
フルート・筝の二重奏も、無事に初演を終え、
また翌朝には小野氏からのメールで、大阪での
この曲の決定版初演も無事終了した事を知り、
重なる成功に、ひとまず肩の荷を降ろした次第
です。
・それから程なくユーチューブ上に、小野・牛丸
・前川の各氏による、この曲の演奏映像がアッ
プされ、僕も初めて実音での自分の曲を聴く事
ができました。サックス(alto)の音色が活きる
ように移調し、それに呼応するユーフォの音崩
れ(値崩れならぬネクズレ)が生じないよう、
パート細部を調整した今回の労多き改訂を経て、
ようやくバランスのとれたアンサンブル作品に
仕上がったように思います。譜面の引渡しが遅れたにもかかわらず、破綻のない好演でした。
[決定版]
・アルトサックス、ユーフォニアム、ピアノのための三重奏曲「追憶の季節」(2014/2023)
・各自それぞれにお仕事を持たれ、時間的に余裕のない中で、素敵な改訂バージョン(決定版)
を初演していただいた事、心から感謝していますが、あえて希望を言えば、今後の演奏では
さらに自由でゆとりのあるアンサンブルを目指して頂きたいと願ってます。バッハのブラン
デンブルク協奏曲には及びもつかない拙い作品ですが、互いに主題を歌い交わしつつ、懐か
しい追憶の境地に、闊達に歩を進めてほしいと願っています。→→ 音源映像に至るには、
"小野康行 追憶の季節”で検索してみてください。「動画」のトップに現れます。
]]>
・6月24日(土)午後2時開演
・ザ・フェニックスホール(大阪梅田新道)
・昨年度の京都公演に続き、さらに会場規制が
緩和された中での(全て自由席、など)定演
開催の運びに至りました。ご案内が遅くなっ
てしまいましたが、今週の土曜いつもの梅新
のフェニックスです。皆様のご支援のもとで、
会員数が増加し、一晩で全員の演奏を聴いて
いただく事が困難となりました。そのために
公演スタイルを見直す意味で、この冬12/02
(金)尼崎ピッコロシアターで、もう一回、第
2の演奏会を開催することになり、出演者を
分散、今回は会員8名による公演を行うこと
になりました。このような試行錯誤の試みを
向こう2年間に実行して、お客様のご意見も
伺いつつ、妥当な方策を見つける予定です。
・なお、一身上の懸案について、以前にも触れ
たように、やむを得ない事情で会長職に長く
居続けてしまいましたが、これを機に会長職を退く事が、過日の年次総会で承認され、後
続を新会長・河田早紀氏に委ねる事となりました。長期にわたるご支援、まことに有難う
ございました!心より感謝申し上げます。
・前置きが長くなりましたが、今回、会員メンバーによって歌われる自分の作品は4件……
独唱2曲、二重唱1曲、それに女声お祭り歌?(譜面上はソプラノ4重唱)が1曲です。
(1) 二重唱「月に寄せる子守歌」(詩・貞松瑩子)(2004)……これまでも何度か再演され
ている、素朴な3節構成のララバイ。「おやすみ、おやすみ……」と互いに歌い交わす
安息のリフレインが印象的です。
(2) 「谷底の松のこと」(詩・河野 律)(1889)……30数年前、関西音楽舞踊会議という
グループに参加していた頃の作品。唐時代の詩人・白居易(白楽天)の詩をもとに、
大胆にリライトされたバラード詩篇。元々は男声バリトンのために書かれた歌曲でした
が、今回、仲間のソプラノ・小山 操さんに歌ってもらうために、音域を変え、部分的に
リメイク、7分弱に抑えました。中国音楽に特有のモチーフが、全曲を統一しています。
(3) 「ふるさとの」(短歌・石川啄木)(1955)……前回の京都公演でお聴き頂いた島崎藤村
の「初恋」と同じ年に作曲した習作に近い内容ですが、メロディの歌い癖やピアノでの
サウンドの好み、などに現在の自分を感じます。啄木の歌集「一握の砂」の中の「ふる
さとの訛りなつかし」と「ふるさとの山に向かひて」を前後に選び、中間に「やはらか
に柳あをめる」の北上川の情景を挟み「啄木三首」として構成ました。
(4) ソプラノ四重唱「キャッキェローニ(chiacchieroni)の歌」(詩・細江和夫)(1993)……
今は亡き楽友・声楽家の M I氏には、発声法の特別レッスンを受ける門下生が数多く集
まっていたのですが、その彼からの提案?要請?を受けて、4人のソプラノが同時に愉
しめるような(発声練習を兼ねて)曲を、試みに作って提供したのが、この小品です。
chacchieroni とは、イタリア語 chacchieroneの複数形で、本来の意味は「おしゃべり
屋さん」「噂好きな人」の意味ですが、ここでは敢えて「歌う仲間」としています。
日本語の歌詞ですが、途中に必須のイタリア歌曲が現れては消えます。いささか不謹慎な
「まぎれ込み」が、この曲の取り柄でしょう。今回は4人どころか7名が蝟集(寄って
たかって)、楽しく舞台のトリを盛り上げます。
天候不順の中ですが、多くのご来聴を心待ちにしています。
・これに先立つ数日間の空模様がナーバスで、ちょうど雨とぶつかるか、と覚悟したのですが、
幸いにも雨にはならず雲の多い晴天、その分だけ気温も上がらず、外出には却って好都合だっ
たかも知れません。有難いことに、予定していた席は埋め尽くされ、無事予定時刻に終演を
迎えました。上演に際しての制約が、今年はかなり緩和されたので、歌い手たちも伸び伸びと
声を届けることができ、こうして徐々に、旧に復しての演奏会を進めて行けそうです。ご来聴
の皆様に感謝申し上げます。
・微力ながら会長として努めてきた幾年かの最後の催物、向後は有能な後輩・河田早紀氏の手腕
に委ねたいと思っています。もっとも、今後も折に触れて自分の作品が採り上げられるて機会
はあることと思います。
・今回ステージに乗せてもらった上記の、形態も雰囲気も異なる4種の歌曲、それぞれの歌手の
皆さんが、心を込めて歌って下さいました。歌唱の中での無声音の扱いや、セリフ語りの扱い
など、さらに研鑽を積んでほしい点はありましたが、仲間の歌手の皆さんとも、長いお付合い
だったナ、としみじみ追想しています。自分にとって、いわば「お名残狂言」のような心で臨
んだ公演でしたが、上記のように、折に触れて、また新曲・旧曲取り混ぜて、今後もお聴き頂く
事になりそうです。変わらぬご支援のほど、宜しくお願い申し上げます。
]]>