[1507] 改訂版の完成

  • 2015.01.30 Friday
  • 21:22
❖ 昨年度作品の全面的改訂バージョン
・篠笛と箏のための「なかぞらの月」(2014)
              →(改訂版2015)

・トピック[026]や[030] でお伝えした上記の曲、
 びわ湖ホール(小)での初演は、演奏者おふたり
 の熱演のお蔭で、成功裡に終える事ができたの
 ですが、やはり自分としては作品そのものの構
 成、とくに篠笛の書法に問題を感じていました。

・それで、おふたりの奏者にも了解を得て譜面を
 最初から全面的に書き直し(箏調弦も最初から
 別な形で)このほど多少とも納得できる改訂版
 を完了することができました。再演にあたって
 旧い作品に手を加え、不備な点を訂正する作業
 は、これまでもずいぶん行なって来ましたが、
 今回の場合は、
同じタイトルながら、別の曲に
 仕上がった、という方が事実に近いでしょう。
 演奏時間も約1分延び、6'40" となりました。

・いずれまた今年の秋以降にご案内しますが、第37回「関西邦楽作曲者協会」作品展(12/05
 淀屋橋 朝日生命ホール)において、委嘱者でもある同じ演奏者によって、再演(改訂初
 演)の予定です。月光降り注ぐ春の夜半、孤独をかこつ愛の放浪者・在原業平の想いを、篠
 笛と箏の重奏に託します。華やかで物悲しい、追憶の歌です。

[1506] 新しい作品の完成

  • 2015.01.20 Tuesday
  • 01:58
❖ 箏二重奏のための愛奏小品
・二面の箏のための「ふるさと変奏曲」(2015)

・前項の「辻が花三章」の制作に入っていた昨年
 12月に、マザーアース社から講習会のお話が来
 ました。名古屋市を本拠とする邦楽器のグル−プ
 の皆さんが、僕のマザーアース社からの出版譜
 
・二面の箏のための主題と変奏
                「午後のバッハ」(1976)
 に取組んでおられ、7月には公演予定との事で、
 作曲者からの話が聞きたい、との講習会講師の
 依頼でした。この曲は、バッハの良く知られた
 「メヌエット」をもとにした「ゴーゴーバッハ」
 すなわち「午後(go go)のバッハ!?」を主題
 とする二面の箏のための12の変奏曲、有難く嬉
 しいお話なので、ひとまず承諾したのですが、
 その折に、今後更に取組んでもらえるような新
 曲を提供できると良いな、と考え、日本人なら
 誰でも知っている懐かしい歌「ふるさと」を主
 題とする4つの変奏曲を作ってまとめました。
・4月の講習会に間に合わせるために、正月の休日の間に稿を完成し、出版の準備に取りかかっ
 ています。比較的に易しい演奏で、しかしこの曲の持っている深い故郷への想いはそのまま
 に、簡潔に主題ー4つの変奏ー主題の回想、という形式で5分ほどの愛奏曲にまとめました。
 箏の初歩の皆さんにも、ぜひトライしてほしいと願っています。

[1505] 新しい作品の完成

  • 2015.01.20 Tuesday
  • 00:34
❖ 邦楽器のための三重奏曲
・三絃、二十絃、十七絃のための
          「辻が花三章」(2015)

・昨年最後のトピック[039]や年頭の[1500]で
 お伝えしていた邦楽三重奏曲が、ようやく1月
 15日に完成しました。序・破・急の三つの楽
 章から成る、通奏約12分の室内楽です。

・僕は作曲を依頼された場合、初演日の少なくと
 も2ヶ月前までに譜面を”納品”するのを原則に
 しているのですが、今回の場合は多忙な事情が
 重なって、初演日2月21日まで1ヶ月あまりと
 というところで、ようやく邦ダッシュの皆さん
 に終楽章の譜面を手渡すことができました。と
 もあれ昨年暮れからの重い肩の荷が降りて、僕
 自身はまさに脱力しています。

・当日の演奏会プログラムに載せるために、300
 字内での解説を求められました。簡略ですが、
その全文を下記してみます。いつものデスマス調でないのは、ひとえに字数節約のためです。


 桃山時代に流行した辻が花染めは、後に興った友禅染めにおされ、やがて姿を消したが、高貴な人の
小袖に残された花々の意匠に想を得て、この三重奏曲は作曲された。
序破急の3楽章から成り、第一章
「里山桜」は著名な神社仏閣の桜ではなく、今年の稲の作柄を予言する、村人には昔からの身近な桜。
人々と共に生き、つつましく咲く春花を描く。第二章「磯路くずの葉」は炎暑の下で生い茂る葛。遠く
海鳴りの音が聞こえ、ひととき雷雨にも見舞われるが、ふたたび夏の午後がもどって来る。終楽章は、
「紅菊白菊」の乱れ咲く秋の景。急緩急の構成のもと、変拍子の乱調が野生の活気をつたえる。今回の
第一回演奏会に寄せる作曲者からの紅白の祝儀。


・邦ダッシュの皆さんによる熱気ある初演の成功を、今から心待ちにしています。なお遠からぬ
 将来、マザーアース社からの出版をめざしています。

[1504] 2月の演奏会(2)

  • 2015.01.14 Wednesday
  • 20:09
❖ 13回目のヴァレンタイン・コンサート    ・この演奏会は終了しました
・2月14日(土)昼の部 14:00 開演  
         夜の部 18:30 開演
・中目黒GTプラザホール
 (日比谷線、東急東横線、中目黒駅)

・ヴァレンタインデイの昼夜2回に渉る、この演
 奏会も、すでに今回で13年目になります。邦楽
 と洋楽の仲間によって結成された東京インター
 アーツの皆さんのために、僕も当初から作品を
 提供し、ささやかながらお手伝いしています。
 今年は、すてきなナレーターをゲストに迎えて
 の、この会では初めてとなる舞台です。


・朗読と箏のための「ゆきおんな」(2001)

・信州白馬岳の麓の村に伝わる雪女伝承をもとに、
 松谷みよ子さんが簡潔で美しい文章に綴られた
 ものを、朗読
テキストとして使っています。冬
 の山中で起った恐しい出来事が、そのあと男の 
 身の上に思いもかけぬ幸福と、そして悲しい結末をもたらす、お話の展開をお聴きください。


・折しも「牧水海声譜」の制作中だった事もあり、東京へは行けませんでしたが、[最終章]と銘
 うった打った13年におよぶこのヴァレンタイン演奏会、盛会裡に終了したとのこと、ほんとに
 良かったと思います。この時期に相応しい「ゆきおんな」を演奏してもらえた事も、作曲者に
 とっては僥倖でした。次回は寒い季節を避けて、今年の5月16日(土)に新しい名称(募集中) 
 のもとでの第1回の公演がスタートする予定で、僕もお祝いの意味を込めて新曲を提供しよう
 と考えています。

[1503] 3月の演奏会(1)

  • 2015.01.12 Monday
  • 06:38
❖ 3年ぶりの「ふるさとオペラ」再演        ・この演奏会は終了しました
・3月22日(日)午後2時開演
・かつらぎ総合文化会館 大ホール
   (和歌山県伊都郡かつらぎ町)

・身分の格差のために結婚を反対された若い二人。
 女の名は横笛、男の名は斉藤道頼‥‥平家物語
 にその名を留めている美しくも悲しい愛の物語
 です。重盛の家来で、北面の武士だった男は高
 野山に登り、出家して滝口入道となり、女は尼
 となって、高野山の麓で残りの人生を過ごした
 とか、息絶える時に鴬の姿となり、男の住む高
 野山めざして飛んでいったとか‥‥その横笛の
 墓がかつらぎ天野の里に現存するということで、
 地元在住の防野宗和氏が発起人・企画者となり、
 ご縁があって作曲を僕が受持つ事となり、3年
 前この「ふるさとオペラ/横笛のうた」が公演
 され、幸いにも大きな感動と成功を収めました。
 

・紀州かつらぎふるさとオペラ「横笛の詩」
                                                             (2012)

・3年前の高揚を忘れずに、ことに防野氏が再演の機会を伺って下さっていたのだと思いますが、
 ようやく機が熟し、今年の3月に町立の立派なホールでの再演が実現する事となり、昨年から
 すでに、合唱員の公募と練習が始まっています。日程その他の事情で、タイトルロールはじめ
 出演者にはかなりの異同があるようですが、今回は今回で新しい演出のもと、あらたな感動が
 生まれる事と思います。2時間余りの手作り「ご当地オペラ」、僕も2月以降には会場でのリ
 ハーサルに何度か立合う事を、とても楽しみにしています。


・作曲者にとっても、3年目にようやく実現したオペラの再演、何としても本番に臨みたかった
 のですが、僕が副会長の一人を務めている(一般社団)波の会 日本歌曲振興会の臨時総会が、
 この日に突如決定し、立場上出席しない訳には行かず、涙をのんで東京へと向ったしだいです。

・もっとも前日午後からの総稽古には立合えたので、今回の新しい演出も判り、安心して皆さま
 の当日の成功を祈っていたのですが、約2ヶ月たってから、本番の映像記録DVDが届いたので
 ゆっくり拝見しました。指揮者も歌い手も、初回とはすっかり変り、新しい気持で舞台を看る
 ことができました。企画・脚本・演出を今回も担当された防野宗和氏(かつらぎ町の文化振興
 を担う、いわば仕掛人)の、再演に賭ける意気込みが伝わって来る、素晴らしい舞台の連続で、
 セリフが多くなった分、ストーリーの流れや人物の思いをより明確に把握する事ができました。

・照明にも、現在ではこれが標準なのかも知れませんが、大胆にレザーを使うなど現代的な工夫
 が見られ、約2時間半のドラマを最後まで面白く味わう事ができました。

・防野氏ご自身は数日前からの風邪が祟り、イベント終演後は数日点滴で寝込まれたとか。かつ
 らぎ町の有志から村人合唱を結成、子ども達にも出演を頼み、地元の和歌山県立笠田高校合唱
   部の皆さん10名にも出演を依頼、さらにはオペラが始まる前や最終の舞台で、高野山真言宗和
 歌山青年教師会6名の方に僧侶としての出演を依頼するなど、オペラのいわば外枠を構成する
 キャストをすべて手配されるなど、超人的な活動をこなされて、病気にならないのがおかしい
 くらいですね。幸い現在はすっかり健康を取り戻されたとか、ほんとにご苦労様でした!あえ
 てこの場で言わせていただくなら、どうか何とぞ、数年先にはまたまた、第3回公演の旗を揚
 げて頂きますよう!‥‥

[1502] 2月の演奏会 (1)

  • 2015.01.12 Monday
  • 03:00
 ❖ 二つのマリンバ作品の再演        ・この演奏会は終了しました
・2月22日(日)午後2時開演
・やまと郡山城ホール(小ホール)

・マリンバ奏者の松本真理子さんとも、思えば長
 いお付き合いです。彼女のために最初に作って
 あげた作品が、今回また再演されるソナタで、
 何と32年前の作品、僕が最初に取組んだマリン
 バの曲です。これを含む下記の2作品が、今回
 演奏される予定になっています。


・(1)マリンバとピアノのためのソナタ (1983)
   (2)青いドレスの人へ (2003)

・松本さんに初演していただいたマリンバ作品は、
 全部で約9曲に及びます。幸いな事に、どの曲
 も初演だけでオシマイとはならず、その後幾度
 となく再演されています。(1)のソナタは伝統的
 な日本旋法による急ー緩ー急の3楽章構成。(2)
 はヴァレンタインの日に開催された演奏会に寄
せて、ブラームス風の線の太いピアノ低音の上に「愛の悲しみ」を歌うマリンバの旋律が流れ
ます。僕自身は、東大寺二月堂に伝わる「青衣女人/ショウエニョニン」のことを心に描いて
作曲したのですが、それよりも、フェルメールの「青衣の女」のほうが、曲のイメージには近い
かも知れませんね。


・松本真理子さんのいつもの軽妙なトークを交えつつの、楽しく、折り目正しい大盛会でした。
 大和郡山も、松本や甲府に似て、落着いた旧い城下町です。この会に寄せての300字のメッ
 セージを依頼され、それがプログラムに掲載されました。30年以上に及ぶ互いのスタンスを
 知っていただくために、その短文をここに掲示します。
  

 楽友Marikoに/千秋次郎       
 マリンバのために書いた10曲あまりの僕の作品のうち、8曲までが真理子さんの委嘱によって作曲、彼女によっ
 て初演されています。楽しいメドレー形式のものから急緩急の三楽章のソナタまで、ブラームスばりのロマン派
 サウンドからお琴に似た純邦楽の世界に通じるものまで、委嘱というラッキーなチャンスを活かして、僕自身に
 とっても有益な経験をさせて頂きました。いちばん旧い作品が1983年の「ソナタ」ですから、それ以来32年も
    のお付き合い、おのずと互いの年齢が判るというものですね。しかし、僕は信じているのです、彼女のマリンバ
    には賞味期限が書いてないことを‥‥‥‥今日のコンサートを僕も楽しみに期待しています。

[1501] 1月の演奏会

  • 2015.01.12 Monday
  • 02:52
❖ 37年目に入った邦人作品展                  ・この演奏会は終了しました
・1月22日(木) 午後6時30分開演
・草月ホール (地下鉄青山1丁目)

・熊谷弘氏が主宰されるシド音楽企画による毎年
 この時期の草月ホールでの演奏会、我々日本人
 の作品を紹介される地道な活動、それも一夜で
 なく数夜に及ぶ営為には、常々敬服の思いです。
 僕の作品も、これまで何度か採り上げていただ
 いていて、関西という地方にあって、これは思
 いもかけぬ力強い励ましとなり、感謝していま
 す。そして今年も、第1夜の22日に僕の旧作が
 演奏される運びとなりました。


・2本のユーフォニアムとピアノのための
 「海に開く窓」(2000)

・ユーフォニアム奏者・牛上隆司/荒木玉緒両君
 のために書いた二重奏曲ですが、その後アメリ
 カの出版社から" The Window Opens Toward 
The Ocean" というタイトルで出版され、海外とくにアメリカで数多く演奏されている、いわ
ば仲間同士で楽しめる愛奏曲といった趣の小品です。技巧的なアクロバット的な作品が多い中、
この曲は、ユーフォニアムの持つ包容力あるメロディアスな楽器の個性を、自然に引き出して
いるのではないかと思います。


・演奏会には出席できませんでしたが、昨年はじめて伺った時の会場ホールのアットホームな
 印象を思い浮かべ、盛会裡に終了された事と思います。演奏者のひとり田中玲子さん(ユーフ

   ォニアム)のブログにも、これの記事がありました。お疲れさまでした!

[1500] 2015年、今年もよろしく

  • 2015.01.12 Monday
  • 00:58
❖ 2015年、おめでとうございます

・本来なら元旦の朝に、さっそくblogを更新し、新年のご挨拶を
 述べるべきところ、昨年の暮れから年頭にかけて、遅れている
 作曲スケジュールに追われて、不本意ながら今日になってしま
 いました。皆さまのご健勝・ご多幸をお祈り申し上げつつ、本
 年も何とぞ、ご厚誼のほど宜しくお願い申し上げます。

・昨年のトピック[039]でご案内していた、邦楽器のためのトリオ
 「辻が花三章」を、できれば年内に完成させ、ゆったりと正月を
 迎えるつもりでしたが、色んな雑事が入りこみ、最初の楽章「里
 山桜」を書き終わった頃には大晦日間近、残り2つの楽章は持ち
 越しとなり、先日1月4日に第2楽章「磯路くずの葉」を完了し、
 これから終楽章「紅菊白菊」に着手するところです。

・しかし更新の方も幾らかトピックスが貯まってきたので、取りあ
 えず、今日から本年のブログを再開させていただく事にします。
 なお、トピックの通し番号を、今年から4桁の数字[15XX]という
 表記に改めます。今年も宜しくご支援下さい!    千秋次郎

 

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