[1610] 新しい作品の完成 (13)

  • 2016.03.27 Sunday
  • 15:38

❖ 過去への詠嘆と決別をハナミズキに寄せて
・昨年の夏に混声合唱曲を制作のあと、しばら
 く作曲活動から遠のいていました。幸いな事
 に、再演される作品が多く、練習の立ち会い
 などで、期間中も多忙ではあったのですが、
 
トピック[1600]でもお伝えしたように昨年末
 から今年の正月にかけて、自分が副会長を務
 める「波の会日本歌曲振興会」の一般社団法
 人からの離脱の件で、いろいろとトラブルに
 巻き込まれ、ひと頃は2キロも体重を減らし
 ていました。ようやく一件落着し、来年3月
 末日をもって解散する事となりました。僕の
 体調もお陰さまで、すっかり恢復しました。

・そのような訳で、今年は社団法人としては、
 最後の事業年度となります。毎年の秋に開催
 の、新作の歌曲を取り揃えて公演する「秋の
 定演」も、今年は10月24日(月)東京文化会
 館小ホールで予定されていますが(いずれまた
 ご案内します)、それに出品するための歌曲を
 このほど一週間ほどかけて完成しました。


・「花水木の手紙」Message of Dogwood Flowers (2016) (作詩・吉田義昭)

・作詩者の吉田義昭氏とは3年前にもソプラノと20絃のための箏歌「十月桜」(2013)(詩/吉田
 義昭)で、素敵な詩稿をもとにコラボさせて頂いたのですが、今回の詩編もじつに美しい言葉
 で綴られていて、過ぎ去った青春への詠嘆と決別を、白いハナミズキの花々に託して謳ってい
 ます。もともとは3聯からなる詩稿でしたが、音楽にするとやや冗長になって、かえって感動
 がそがれるので、詩人の諒承のもとに中間の聯を割愛、2聯で約5分に収まる緊密な作品にまと
 めました。詩人の想いは、この方がより的確に、歌い手にも、聴き手にも伝わると僕自身は思っ
 ています。10月の初演が今から楽しみです。

[1609] 5月の演奏会 (2)

  • 2016.03.27 Sunday
  • 14:04

❖ 和洋のひと時を 今年もまた優しい季節に ・この演奏会は終了しました
・5月21日(土)昼の部 14:00 開演
        夜の部 18:00 開演
・中目黒GTプラザホール
 (日比谷線、東急東横線 中目黒駅)

・これまでずっと2月のヴァレンタインデイに
 開催されていた会を、
昨年から時候快適な5
 月に移行して、今年が2回目の演奏会です。

・これまで活動の中核的存在だった中島はるさん
 が病没されてからは、旧友の
牧原くみ子さんが
 後を受け継ぎ、大勢の演奏仲間とともに活動を
 展開しています。僕も皆さんが要望される作品
 を提供し、陰ながらサポート、今年の僕の曲は
 新作ではありませんが、次の2作品です。


・箏三重奏曲「朝の月 花環に似たり」(1989)
・ピアノと尺八と歌のための「わが道」(2015)
               (詩・貞松瑩子)

・今から27年も以前に書いた「朝の月」は、与謝野晶子の短歌「朝の月 花環に似たり なつかしき
 人の門(かど)にも 往きて懸けまし」にインスパイアされて作曲した若書き。完成度不足です
 が、ひたむきさは感じ取ってもらえるかなと思います。基本的には器楽曲ですが、冒頭に箏奏者
 によるオキ(導入部)があり、上記の晶子の短歌を弾き唄いしてから、本来の合奏に入ります。

・ソプラノがピアノと尺八との伴奏によって歌う「わが道」は、すでに
名古屋京都で、別々の
 演奏者によって初演が終りましたが、今回は東京での初演を迎えることになります。季節にも
 ふさわしい、尺八をフルートのように聴かせる爽やかな歌曲です。

 

・日程の都合で今年も本番当日は欠席しましたが、以前は毎年のように訪れていたGTプラザホー

   ル、中目黒駅からすぐそこ、という人の気配に溢れている近親感とも相俟って、会のなごやかな

   雰囲気が手に取るように判ります。今年も盛会だったとの事、おめでとうございました。さあ、

   また来年、また何か、和と洋が交わりあうフレッシュな作品を提供してあげたい‥‥いま思い始

   めています。

[1608] 5月の演奏会 (1)

  • 2016.03.27 Sunday
  • 11:42
❖ WEBで偶然みつけた自分の作品 ・この演奏会は終了しました 
 ・5月15日(日) 午後1時開演
 ・秋篠音楽堂(近鉄奈良西大寺駅前)

 ・主催者・まほろばフルートオーケストラの皆様
  とは、まったく面識がなく、先日偶然にWEB上
  で、この記事を見つけたのですが、僕の作品を
  採り上げてくださっているので、先方には無断
  ながらお報せしようと思います。

 ・チラシ上で演奏曲目の3番目に
     
フルートオーケストラのための
                           「風の忘れもの」(1995)
     が掲示されています。まだ見知らぬ楽友が、この
   ように演奏会のステージに乗せるべく、取組んで
下さっている、という事は、とても光栄で、嬉しい事です。
僕も当日は「お忍び」でもいいから会場へ赴き、演奏を聴かせて頂こうと密かに考えていま
す。演奏のご成功を祈ります!


・ 戸外は少し暑いくらいの好天でしたが、落ち着いた雰囲気の秋篠音楽堂は僕も好きなホール、
 フルートオーケストラの響きを愉しんできました。第1部が邦人作曲家によるオリジナルな
 作品を4曲、休憩を挿んでの第2部がメンデルスゾーンの交響曲第4番イ長調「イタリア」の
 4つの全楽章、アンコールは絶妙な名曲・カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲。高 昌帥氏を
 指揮者に迎えての第10回定演。選曲に筋が通り、聴き手に的確な印象を残す演奏会でした。練
 習もよくなされていたと思います。僕の「風の忘れもの」は、これまで多くの演奏グループが
 採り上げて下さっていますが、今回の演奏も焦点の定まった素敵な演奏でした。演奏会終了後
 楽屋へご挨拶にゆき、「追憶の季節」の楽譜や参考音源などをさし上げてお暇しました。でき
 れば今度は、「追憶の季節」のステージを聴かせてもらいに伺おうと思っています。ともあれ
 ご盛会お目出度うございました!

[1607] 4月の演奏会 (2)

  • 2016.03.25 Friday
  • 21:36
❖ 演奏者が持ち寄りで会心の1曲を披露   ・この演奏会は終了しました
・4月24日(金)午後2時開演
・JASRACけやきホール(小田急・代々木上原)

・絵画展の名称を踏襲し、所属会員の歌い手の皆
 さんが各自1曲を持ち寄って、賑やかに演奏を
 競い合う歌のアンデパンダン、今年は僕の2つ
 の作品が採り上げられることになりました。


・「風の花びら」(2010)  (詩・村田寿子)
・「十七才」(1994) (詩・佐久間郁子)  

・「風の花びら」はもともとソプラノと箏のため
 の箏歌でしたが、歌い手の皆さんの要望もあり、
 ピアノ伴奏による新バージョンを作制、今回が
 その<ピアノ版初演>となります。邦楽の雰囲気
 と歌のメロディラインはそのまま残し、新しい
 楽想で、ピアノパートを書いてみました。歌う
 のは関根恵理子さん、初版(箏伴奏)の時と同
 じ演奏者です。

・「十七才」の方は昨秋11月にも
再演されていますが、僕の歌曲作品のなかでは再演のチャンス
 が多い愛唱歌です。しっとりとした邦楽テイストで始まり、最後はポップ調で終わる、歌う方
 も聴く方も、それぞれの思いで楽しめる1曲です。歌われるのは石岡美典子さん、また異なっ
 た趣きのもとでの十七才物語が聴けるでしょう。


・休憩をはさんで合計15曲の歌曲が演奏されましたが、前日までの悪天候から打って変わって、
 涼風が心地よい美日の午後、会場いっぱいの聴衆の皆さんを迎え、盛会裡に終了しました。
 僕の出品作は、どちらも季節に相応しい爽やかな情趣の曲でしたから、お陰さまで好評を頂き
 ました。なお、「十七才」は来る6月5日にも日本福音ルーテル教会西宮で、狩谷瑠美さんに
 よって演奏される
予定です。

[1606] 4月の演奏会 (1)

  • 2016.03.04 Friday
  • 13:07
❖ 30代の頃からの旧友のトークコンサート ・この演奏会は終了しました
・4月30日(土)午後2時開演
・ロームシアター京都 サウスホール
            (左京・岡崎公園)

・今から50年以上も前のこと、僕が京都市立音
 楽短大(京都芸大の前身)の作曲科に在籍し
 ていた頃、一年間の契約で府立盲学校音楽科
 に教員として洋楽の講義などで勤務した事が
 あります。当時の受講生は3名で、皆さんが
 弱視か全盲の高校生でした。その中のひとり、
 梶寿美子(当時は中谷姓)さんは高校2年生
 でしたがとても積極的な生徒で、彼女がその
 後、大阪音楽大学へ、全盲生としては初めて
 進学してから後も、ずっと、いわばお弟子サ
 ンのような形で、指導を続けていたのですが、
 僕にとっては、これが箏などの邦楽器に触れ
 る契機となり、彼女のために幾つかの邦楽器
 のための作品を提供し、僕自身も大いに学ぶ
 ところがありました。以前トピック
[1506]
 紹介した
2面の箏のための「午後のバッハ」
 も、もともと彼女の発表会のために1976年に作曲したものです。

・その後、彼女はご夫君の協力のもとに、社会福祉推進、ことに盲人の方たちの福祉向上の
 ための活動を、自分の箏演奏を中心に据えてのトークショウなど、音楽を通して推進して
 こられました。長年おたがいに会わないでいる内に、チラシで見る彼女も、いつのまにか
 高校生から高齢者になってしまわれましたが、それはお互いさま、今回の企画も彼女の永
 い活動の一環として「手渡したい大きなありがとう」というタイトルのもとに、トークを
 挿んでの箏の演奏会となる運びです。

・彼女に初演してもらった僕の邦楽作品は10指に余ると思いますが、今回はその中の、最も
 彼女の個性にうってつけの、いわば「当たり作」とでも言うべき作品を採り上げて下さって
 います。


・朗読と箏のための「おゆき」(2000)  (朗読テキスト/ひらの りょうこ)

・これは僕にとっても京都時代の知人である詩人・ひらのりょうこ さんが、梶さんのために
 書き下ろした朗読詩で、梶さんが朗読と箏の演奏を共に、いわゆる弾き語りの形で、また
 或る所では弾き唄いも交えて、独演します。西陣あたりの京都弁がとても爽やかで、多く
 の聴衆の皆さまの感動を呼ぶのではないかと思います。ロームシアターと名を改め、新装
 なった、僕自身も舞台で第9のテナーパートを歌ったことのある、懐かしいかつての京都
 会館に足を運び、ご盛会ご成功を祈ろうと思っています。


・新装なった曾ての京都会館第2ホール、名称もロームシアター京都/サウスホールとなり、
 中にツタヤ書店があったりして、より親しみやすい市民の憩いの場にもなっていて、好感
 が持てました。ホール自体もムダな機能を省き、ゆったりとした座席で素晴らしい響きが
 堪能できる改造がなされていて、今回の梶さんのトークショウはオープニング記念事業の
 ひとつとして、たいへん印象的でした。第1部の2番目に演奏された僕の「おゆき」、こ
 れを彼女のために作曲したのは今から16年も前の事でしたが、演奏にもずいぶんと年期が
 入っていて、自分で言うのも何ですが、とても感動的な弾き語りの世界でした。おそらく
 演奏密度の高さでは、この日のステージでは最高だったと思います。将来また、僕の関わ
 る何かの演奏会で、ぜひこの作品を彼女に再演してもらおうと、密かに思っています。

calendar

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< March 2016 >>

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM