❖[大阪クラシック]イベントで再演 ・この演奏会は終了しました
・9月12日(月)午後1時開演
・ANAクラウンプラザホテル大阪 (キタ堂島浜)
・すでに地下鉄電車の中吊り広告でも宣伝され
ていますが、今年も「大阪クラシック」と題
して、大フィル桂冠指揮者の大植英次氏がプ
ロデューサとなって、大フィル・関フィルな
ど5つの交響団体の演奏者が、御堂筋を中心
に原則無料の思い思いのコンサートを、30の
会場で、一週間にわたり81公演行なうという
恒例クラシック音楽の大イベントです。
・これの2日目に、大フィルの主席オーボエ奏
者・浅川和広氏がピアノの晶子夫人とともに
北新地のはずれにあるホテルで、企画に即し
たミニリサイタルを開催されます。そして、
思いがけない事に、僕が29年前に書いた作品
を演奏のプログラムに加えて下さっています。
・オーボエとピアノのためのソナチネ「海の旗・陸の旗」(1987)
・この曲は、そのころ知りあったばかりの京響のオーボエ奏者・呉山平煥氏夫妻のために書い
たもので、呉山氏を通じてフランスのオーボエ奏者にも紹介されました。数年前だったでし
ょうか、何かのきっかけで大フィル主席オーボエ奏者・浅川和宏氏の目に触れることとなり、
今回のミニコンサートで、平尾貴四男作曲「オーボエ・ソナタ」(1951)の前座を勤める形
で、僕の曲が奏されることになりました。思いがけない光栄に感謝しなければなりません。
・「海の旗・陸の旗」という、やや風変わりな副題ですが、若くして24才で世を去った詩人
富永太郎(1901~1925)の、草稿断片とも言える遺稿;
「蝋燭を吹き消して 寝返りを打てば ああ 海の旗 陸の旗」
たったこれだけの詩句ですが、みずからの薄命を予視したかのような、鮮烈なイメージに
感銘して、約10分余のこの曲を作りました。このように書くと、きっと重苦しくて暗い曲
だろうと思われがちですが、実際の曲は「澄明なクールさ」に満ちた音楽、ただ中間部の
第2楽章は「夜の歌」と題された宿命的なノクターン。敢て言えば、プーランクにもっとも
似ているでしょうか。‥‥久々の再演に、心が躍ります。
・ホテル1階の天井の高いレセプション・ロビー(要するに待合場所)を借りての,椅子なし
の演奏会でしたが、なまじっか中途半端なホールよりも、密度の高い素敵な演奏会でした。
僕も今回は、聴衆の一人として皆さんに紛れ込んで聴かせてもらったのですが、100名以上
も聴きに来られたでしょうか、ロビーいっぱいに半円形になって、前の方数列は皆さんが床
に腰をおろし、それから後は、ずっと立ったままで、約45分ほどのステージを熱心に清聴し
て下さいました。
・演奏が始まる前に、今回企画のプロデューサ・指揮者の大植英次氏が元気な挨拶に立たれ、
座がいっそう和やかで心が触れあうものになりました。素晴らしい事です。それから後は、
ずっと静粛な中での、最初の曲が上記の僕の曲でしたが、僕自身ほとんど忘れていた曲で、
我が曲ながら、なかなか良いな、などと聞き惚れていました。やはりお二人の息の合った
密度の高いていねいな「曲作り」が素晴らしかったです。
・演奏会終了後、お二人にお礼を述べて会場を去りましたが、それというのも、じつは翌朝
8:30から、年に1度の定期健診(半日ドック)が控えていたので、あのイヤな経鼻の胃カ
メラに備える心準備のために、すぐにお暇したような訳です。幸い、翌日の健診結果は昨
年同様、特に異常はなく、向こう1年は生存が保証されたようなものでした。
・浅川氏ご夫妻は、来年あたりにリサイタルを企画されており、その時にも、このソナチネ
「海の旗・陸の旗」をふたたび採り上げて下さるとの事で、とても嬉しく期待しています。