[1624] 9月の演奏会(3)

  • 2016.08.30 Tuesday
  • 09:57

 ❖ 箏をバックにした「ゆきおんな」語り   ・この演奏会は終了しました(事後報告)

・金沢市に在住のハープ奏者・荒井庸之氏から

   嬉しい報せが届きました。児童文学作家、と

 いうより、僕にとっては民話再創造者として

 今も尊敬している松谷みよ子さんの民話の一

 つに、僕が箏の伴奏を付けた演目が、荒井氏

 からの紹介もあって、去る9月3日金沢市文化

 ホールで再演されました。

 

・語りと箏のための「ゆきおんな」(2001)

                                  (文・松谷みよ子)

 

・今年で開軒60周年になられた浜本雅唱さんの

 第14回演奏会で、彼女の語りに須田雅楽静さ

 んが箏を添えて演奏されたのですが、当日出席

 していた荒井氏は、とても優れた演奏に感銘を

 受けたと、報せて下さいました。‥‥まさに、

 「朋あり,遠方より来る、また楽しからずや」

 という思いで、僕も感謝しています。 

 浜本先生、有難うございました!
 

[1623] 既刊楽譜の紹介

  • 2016.08.15 Monday
  • 20:39

❖ 箏とクラリネットの二重奏曲

・この楽譜は新刊譜ではなく、すでに2004年に

 マザーアース鷏から出版されているものですが、

 来月の再演を機に、はじめてブログ上での紹介

 をさせてください。

 

・タイトルとなった「巷歌コウカ」とは、ちまた

 の歌 という意味、「拾遺シュウイ」とは、拾

 い集めた という意味、欧文のタイトルは 

 The Melodies Forgotten

           ‥‥忘れられた歌の数々

 という表現になっています。もっとも、すべて

 作曲者のオリジナルな旋律であり、全体が創作

 なのですが、一先ずこのように「集めてきた」

 という体裁を採っている、4楽章(つまり4つ

 の旋律)からなる組曲(組み歌もの)です。

 

・4つの楽章にはそれぞれ、「一の歌」「二の歌」

 「三の歌」と曲名が付いていて、最後の4番目

 のものには、これが最後(フィナーレ)という

   意味で「吉利」キリ, つまり「切り」を祝辞化したタイトルが付いています。


・バロック期の教会ソナタの構成に似せて、この

 曲でも 緩−急−緩−急 の4楽章構成ですが、1曲

   目は3拍子のABA3部形式、2曲目は4拍子での

 2声インベンション、3曲目は左の譜例に見る

 ように拍子記号が示されていない即興的なファ

 ンタジア、終曲は再び4拍子、放埒とも言える

 ロンドで全体を賑やかにしめくくります。

 

・この作品では、演奏上どうしても箏が2面必要

 となります。左の譜面の冒頭に記されているよ

 うに、第3曲で使う箏の調弦が、たぶん他には

 類を見ないような奇妙な琴柱の立て方(調弦)

 を要求しているからです。通常は奏者の手前か

 ら高い音が始まり、しだいに低い方へ順番に降

 りてゆくのですが、ここでは、ちょうど中程で

 いったん低い音に達し、それから別な音を鳴ら

 しながら高い音に戻る、という、分散和音の

 響きの面白さが味わえる、新しい試みを行い、

 僕自身は十分満足できる成果が得られました。

 

・1982年の京都での初演以来、かなりの回数で再演が行なわれてきましたが、2面の箏を舞台

 に用意するために、ときどき予想外のことが起ることに気付きました。別調弦の箏による3曲

 目が終り、4曲目を弾くために箏奏者がもとの箏に移動する時に、聴衆の何人かの方が「あ、

 演奏が終了した」と早合点され、箏奏者が立ち上がるやいなや拍手が起るのです。まあ、拍手

 を頂くのは有難いことなのですが、今度のサロンでのお客様は如何なさるでしょうか。
 

[1622] 9月の演奏会 (2)

  • 2016.08.15 Monday
  • 05:37

❖ 銀座のサロンでの旧作の再演       ・この演奏会は終了しました

・9月18日(日)午後2時開演

・音楽サロン・カンタータ

     (銀座7,ランディック第3銀座ビル3F)

 

・「箏とクラリネットの華やかな協奏」と題され

 たドリンク付きのミニコンサートが、銀座で開

 催されます。すべて邦人作品によるプログラム

 ですが、嬉しいことに僕の旧作も選曲の一つに

 加えられています。

 

・クラリネットと箏のための「巷歌拾遺」(1982)

 

・前トピックで紹介したオーボエのソナチネより 

 さらに5年も以前の、今から34年前に書いた曲

   ですが、とかくフルートと合奏する機会の多い

 箏に、ひと癖あるクラリネットの響きを重ねて

 みたくなって書いた、緩−急−緩−急という4楽

 章構成、バロック期の教会ソナタの様式による

 作品です。(後続トピックで、曲の内容をもう

 少し詳しくお伝えします。)

 

・ひとむかし前の2003年の夏、僕と同じ豊中市に在住だった箏奏者・彩里京鼓さんと知り合い

 ました。そして9月に、我が家に隣接する服部緑地公園に保存されている歴史的民家のひとつ

 で、彼女のリサイタルが開催され、その時の共演者だった白川毅夫氏のクラリネットとともに

 この曲が演奏されました。その時と同じ顔ぶれで、今回もこの曲が東京銀座で再演されます。

 あの時から13年が経ち、彩里京鼓さん(これは芸名ですが)は、東京でマザーアース鷏という

 出版事業を立ち上げ、日本の作曲家の作品の紹介・出版をはじめとする多様な国内/国際的音

 楽文化事業に携わっておられます。また白川氏は現在、日本クラリネット協会理事の一人です。

 そして僕の作品もこれまでに30曲の作品が、マザーアース版として出版されています。今回の

 「巷歌拾遺」もすでに出版され、彩里さんの演奏によるCDが参考音源として付いています。

 

・会場の地図を眺めて、銀座界隈にはすべてに通り名があることを知りました。それで、試みに、

 これを京都人的に読んでみると、サロンのある場所は、中央区交詢社通り三原通り下ル西側、

 となるのですが、周囲に目印となる東山も北山もない東京では、上ル下ルが判るかどうか‥‥

 

・やはり東京の碁盤目は、馴れないと方角を迷いそうでした。それぞれの小路の角に似たような

 おシャレな店が建っていて、かえって「目くらまし」に遭う感じです。関東にしては蒸し暑い

 午後でしたが、サロンの中は快適で、決して広くはないスペースに大勢のフアンの方が集まら

 れて、クラリネットと箏という、やや珍しいコラボを熱心に聴いて下さいました。上記の僕の

 作品はトリで演奏されたのですが、4楽章構成の長曲ながら、なかなか変化に富んでいて面白

 く(僕も久々に聴いたので、他人の曲を聴くような感じで)、何とか無事にトリとしての務め

 を果たせたかな、と安心しました。クラリネットの、何と言うか独特の「ぬめり」のある音色、

 できれば、また同じ編成での新曲を書いてみたいと思っています。

 

[1621] 9月の演奏会 (1)

  • 2016.08.15 Monday
  • 02:38

 ❖[大阪クラシック]イベントで再演          ・この演奏会は終了しました

・9月12日(月)午後1時開演

・ANAクラウンプラザホテル大阪 (キタ堂島浜)

 

・すでに地下鉄電車の中吊り広告でも宣伝され

 ていますが、今年も「大阪クラシック」と題

 して、大フィル桂冠指揮者の大植英次氏がプ

 ロデューサとなって、大フィル・関フィルな

 ど5つの交響団体の演奏者が、御堂筋を中心

 に原則無料の思い思いのコンサートを、30の

 会場で、一週間にわたり81公演行なうという

 恒例クラシック音楽の大イベントです。

 

・これの2日目に、大フィルの主席オーボエ奏

 者・浅川和広氏がピアノの晶子夫人とともに

 北新地のはずれにあるホテルで、企画に即し

 たミニリサイタルを開催されます。そして、

 思いがけない事に、僕が29年前に書いた作品

 を演奏のプログラムに加えて下さっています。

 

 

・オーボエとピアノのためのソナチネ「海の旗・陸の旗」(1987)

 

・この曲は、そのころ知りあったばかりの京響のオーボエ奏者・呉山平煥氏夫妻のために書い

 たもので、呉山氏を通じてフランスのオーボエ奏者にも紹介されました。数年前だったでし

 ょうか、何かのきっかけで大フィル主席オーボエ奏者・浅川和宏氏の目に触れることとなり、

 今回のミニコンサートで、平尾貴四男作曲「オーボエ・ソナタ」(1951)の前座を勤める形

 で、僕の曲が奏されることになりました。思いがけない光栄に感謝しなければなりません。

 

・「海の旗・陸の旗」という、やや風変わりな副題ですが、若くして24才で世を去った詩人

 富永太郎(1901~1925)の、草稿断片とも言える遺稿;

  「蝋燭を吹き消して 寝返りを打てば ああ 海の旗 陸の旗」

 たったこれだけの詩句ですが、みずからの薄命を予視したかのような、鮮烈なイメージに

 感銘して、約10分余のこの曲を作りました。このように書くと、きっと重苦しくて暗い曲

 だろうと思われがちですが、実際の曲は「澄明なクールさ」に満ちた音楽、ただ中間部の

 第2楽章は「夜の歌」と題された宿命的なノクターン。敢て言えば、プーランクにもっとも

 似ているでしょうか。‥‥久々の再演に、心が躍ります。

 

・ホテル1階の天井の高いレセプション・ロビー(要するに待合場所)を借りての,椅子なし

 の演奏会でしたが、なまじっか中途半端なホールよりも、密度の高い素敵な演奏会でした。

 僕も今回は、聴衆の一人として皆さんに紛れ込んで聴かせてもらったのですが、100名以上

 も聴きに来られたでしょうか、ロビーいっぱいに半円形になって、前の方数列は皆さんが床

 に腰をおろし、それから後は、ずっと立ったままで、約45分ほどのステージを熱心に清聴し

 て下さいました。

 

・演奏が始まる前に、今回企画のプロデューサ・指揮者の大植英次氏が元気な挨拶に立たれ、

 座がいっそう和やかで心が触れあうものになりました。素晴らしい事です。それから後は、

 ずっと静粛な中での、最初の曲が上記の僕の曲でしたが、僕自身ほとんど忘れていた曲で、

 我が曲ながら、なかなか良いな、などと聞き惚れていました。やはりお二人の息の合った

 密度の高いていねいな「曲作り」が素晴らしかったです。

 

・演奏会終了後、お二人にお礼を述べて会場を去りましたが、それというのも、じつは翌朝

 8:30から、年に1度の定期健診(半日ドック)が控えていたので、あのイヤな経鼻の胃カ

 メラに備える心準備のために、すぐにお暇したような訳です。幸い、翌日の健診結果は昨

 年同様、特に異常はなく、向こう1年は生存が保証されたようなものでした。

 

・浅川氏ご夫妻は、来年あたりにリサイタルを企画されており、その時にも、このソナチネ

 「海の旗・陸の旗」をふたたび採り上げて下さるとの事で、とても嬉しく期待しています。 

[1620] 8月の演奏会 (3)

  • 2016.08.03 Wednesday
  • 23:38

❖ 白馬のふもとの村で、行く夏を見送る     ・この演奏会は終了しました

・8月21日(日)正午12時開演

・白馬ウィング21文化ホール

    (長野県北安曇郡白馬村大字北城2066)

 

・6月のトピック[1613]でもご紹介した松本市

 在住の25絃箏奏者・田中静子さんの楽友の方

 々が「夏の終りコンサート」と題した白馬村

 での合同演奏会に招かれて演奏をされます。

 

・現在白馬村に住んでおられる塩嶋達美氏はフ

 ルート、たぐちたみさんはメゾソプラノ、こ

 こに25絃の田中さんが加わって、何か1曲

 3人でできると良いね、ということになり、

 過日のコンサートで田中さんが初演された僕

 の作品を再演していただく事になりました。

 

・若山牧水の短歌による箏歌「牧水海声譜」

                 (2015)

 

・この作品はもともと、箏の弾き歌い曲として

 作曲したものですから、箏演奏者ひとりで演奏するものですが、今回は、箏のパートだけ

 田中さん、箏の歌唱のパートをたぐちさん、そして新たにフルートのパートを(原曲には

 手を加えず)僕が追加作曲し、トリオとして演奏してもらうことになりました。その意味

 で、今回は再演というよりも、新バージョン初演と呼ぶのが正しいでしょう。

 

・雄大な山岳の麓の村で、一足早い秋を感じながら、去ってゆく夏を見送る、合唱が中心の

 合同演奏会、イメージするだけで素敵だろうな、と思ってしまいます。その中にあっての、

 ユニークな和洋コラボレーションでの牧水愛唱歌‥‥ご成功を祈っています。

 

・25絃奏者の田中さんから事後のお便りがあり、当日の演奏会終了後に、何人かの聴衆の方

 が声をかけてくださって、とても感銘したとの感想を寄せられたそうです。フルートが加

 わった今回のバージョンも、今後さらなる再演を重ねてほしいと願っています。嬉しい事

 に、来年6月塩尻市で、さっそく別の歌い手の方(ソプラノ)との演奏が決まったとか、

 塩嶋氏はじめお三人の皆様、ほんとうにお疲れさまでした! 
 

calendar

S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< August 2016 >>

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM