[1627] 新しい出版楽譜 (11)
- 2016.09.16 Friday
- 23:49
❖ 音楽評論家・宇野功芳氏に序文を頂いて
・これまで書きためてきた歌曲の中から約30曲
を選び「千秋次郎歌曲集 1」「千秋次郎歌曲
集 2」の2巻に振り分けて、最大手の楽譜出
版社のひとつ、全音楽譜出版社から発刊して
いただく事になりました。たいへん栄誉な事
と感謝しています。
・僕の現在の作品数は約370タイトルですが、
そのうち声楽作品に属する曲の数は半数以上
およそ200曲ほど、その中の120曲あまりが
ピアノ伴奏による独唱の日本歌曲で、残りは
合唱作品や邦楽器の伴奏による箏歌、さらに
室内オペラのアリアや重唱などです。
・歌曲の出版はこれが初めてではなく、これま
でにも、マザーアース社とか国際芸術連盟、
音楽之友社などからも発刊されていますが、
個人の「歌曲集」という形で、それなりの数
の曲目が前後2冊に収められるのは、今回が
最初で、おそらく最後になるでしょう。
・昨年秋ごろから出版社とお話を進め、初演は終ったものの未だ出版されていない近年の曲目
を中心に、これに作曲者が愛着を持つ旧作の幾つかを加えて、全16曲からなる第1巻を構成
しました。その16曲の曲名/作詩者/作曲年を、出版楽譜の曲順とは別に、作曲年の順列で
示すと、次のようになります。
(1) ひろったえんぴつ/いわきたろう 1986
(2) さよならの季節/印南長子 1989
(3) 夏の朝/垣内磯子 1994
(4) あしたになったら/垣内磯子 1994
(5) 十七才/佐久間郁子 1994
(6) 秋風の妖精/貞松瑩子 1995
(7) 水曜日のうた/藤田潔静 2006
(8) 夕ぐれ/貞松瑩子 2008
(9) チェロの四季/中島登 2009
(10) 風のはなびら/村田寿子 2010
(11) 溢れる海/貞松瑩子 2010
(12) 揺れる日/貞松瑩子 2011
(13) 踏み絵/狩野敏也 2013
(14) 新薬師寺へ/柏木隆雄 2014
(15) さがしている/宮中雲子 2015
(16) わが道/貞松瑩子 2015
・タイトルの感じからも推測できますが、最初の4曲は旧作の童謡に近い作品です。しかし、
それぞれに愛着があり、この巻に収録しました。また、実際の楽譜では(15)(5)(7)(6)の順で
ページが始まりますが、少なくともこの4曲を試していただければ、千秋次郎の歌の世界が
どのようなものか、判っていただけると思っています。
・自分にとって大きな意義のある事を、お伝えするのが遅れましたが、今回の上梓にあたり、
指揮者で音楽評論家の宇野功芳氏からメッセージを寄稿していただく事ができました。まさ
に無上の感激です。ただ、痛恨のきわみは、草稿が僕の手元に届いてから、1ヶ月あまりで
氏は他界されました。ご自分の命脈を削ってまで、電話口での約束を果たして下さった事に、
何とお礼すべきか、いま僕は言葉を失っています。楽譜では最初のページに、氏のメッセー
ジ「千秋作品に」を掲載しています。(宇野功芳氏のことは、いずれまたブログの項を改め
てお伝えしようと考えています。)
・この楽譜はすでに発刊され、全音楽譜出版社の広報にも宣伝されています。なお第2巻は、
第1巻でブランクになっている1995〜2006の約10年間に書いた歌曲を中心に選曲、来年の
初夏あたりに刊行の予定です。