[1702] 新しい作品の完成 (16)
- 2017.01.08 Sunday
- 22:12
❖ この秋の奈良での邦楽フェスのために
・奈良県三曲協会の理事の一人で、僕にとっては、
永年の同志ともいうべき箏の吉岡紘子さんから
新作依頼の打診があり、昨年の暮12月17日に
ようやく、その曲を完成しました。
・邦楽合奏のための
「万葉やまと春から春へ」(2016)
・文化庁の肝いりで、邦楽界では毎年「国民文化
祭/邦楽の祭典」という、いわば国体のような
催物が各県持ち回りで開催されて来ているよう
です。そして今年H29年度のホスト県が奈良県
に決まっていて、吉岡さんらも今年は気の抜け
ない多忙の年となりそうとの事です。全国各地
の邦楽演奏グループから参加を募って、20団体
以上もの演奏ステージを企画する訳で、主催県
奈良としても4つの演目を用意して、準備に取
りかかっておられます。その内の一つが新曲初
演の舞台で、万葉集から大和に関連した和歌を
歌い込んで、一つの組歌のようにしたいとの事、
昨年の夏頃に相談を受け、協議の末に次の4つの万葉集和歌をテキストに選びました。
(1) 春の野に すみれ摘みにと来しわれぞ 野をなつかしみ ひとよ寝にける/山部赤人
(2) 春すぎて 夏来たるらし しろたえの衣ほしたり 天の香具山/持統天皇
(3) 秋の夜の 霧たちわたり おぼろかに 夢にぞ見つる いもが姿を/柿本人麻呂
(4) あおによし 奈良のみやこは 咲く花の匂うがごとく 今さかりなり/小野 老
・タイトルに「春から春へ」とあるように、(1)から(3)にかけて季節が春/夏/秋と移り、冬の
和歌を省いて(3)から(4)にかけては、やや長い邦器楽の合奏(いわゆる手事)を挟み、ふたたび
春に戻って、華やかに終る構成です。演奏楽器は尺八2部、三絃、箏2部(弾き歌いします)、そ
れに十七絃が加わった6パートで、久々に12分半という、かなりの長さの作品を書きました。
・今回は吉岡さんの<ぐるーぷ・いぶき>の皆さんばかりでなく、奈良県三曲協会に所属の皆様から
応募を募っての大所帯での合奏となります。皆様に気に入ってもらえるか、不安と期待との入り
交じった気持ちで、年末からずっと正月三が日まで、譜面の清書にかかり切っていました。さる
4日にようやく先方様へ譜面とシミュレーション音源をお送りしました。このブログがようやく
今日になって更新できたのも、その結果です。しばらく心を休め、また次の依頼の作品に着手す
ることになりますが、嬉しい事に昨年のような気鬱からは解放されたので、行手は明るいです。