[1826] 10月の演奏会 (4) (5)

  • 2018.09.25 Tuesday
  • 23:01

❖ 秋の清興を17弦の響きに乗せて     ・この演奏会はどちらも終了しました

(上)・10月14日(日)午後2時開演

   ・滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール 小ホール

                (京津線石場) 

(下)・10月27日(土)午後2時開演

   ・京都府立府民ホール アルティ

               (烏丸一条下ル)

 

・ひとつは「アンサンブルの楽しみ」と題して、

 10組の若手アーチストが、得意の曲を持ち寄り

 全体として壮大なアンサンブルのひと時を楽し

 む、という企画。洋楽器、和楽器、民族楽器、

 合唱、など多彩なステージが用意されています。

 

・もう片方はムジカA・国際音楽協会の若手会員

 3名の皆さんによるジョイント・リサイタルの

 試み。

 

・この両方の演奏会に、僕の楽友・麻植美弥子

 さんの愛娘の麻植理恵子さんが出演し、僕が

 11年前に彼女のデビューを祝って書いた旧作

                      を、想いあらたに再演されます。 

 

・十七絃独奏のための「秋風の箏」(2007)

 

・この作品は、2011年に一部改訂を行ったのち、

 2014年にはマザーアース社から出版され、この

 ブログにおいてもすでにご案内しています。

   古今集に収められた壬生忠岑(ミブノタダミネ)

 の和歌に啓示されて、短期間に完成した、いわば

 即興曲のような内容ですが、古来から親しまれた

 陰旋法のもとで、日本的情趣に流れる事を避け、

 秋風に誘われて生じた恋人への憧れの気持、心の

 波風といったものを、テンポ感やリズム感で捕ら

 えてみました。バッハの無伴奏チェロ組曲を弾く

 ような心の立ち位置で、この曲を解釈するのも、

 面白いのではないでしょうか。

 

・この曲を初めて初演した11年前のデビュー当時の

 理恵子さんも、今では人の母。‥‥ 年輪を重ねた

   絃の音色に期待を込めつつ、ご成功を祈っています。

 

・予定が詰まっていて、僕はどちらも欠席してしまい、その後も演奏者とは連絡が取れていないの

 ですが、すでにCDにも収録されていて、彼女の「手の中に」入っている曲なので、きっと好演

 を果たされた事と思っています。陰旋法に基づく伝統的な日本情緒から外れたところで、別の新

 しい叙情の空間を試みることを、これからもトライしてみたいです。

[1825] 10月の演奏会(3)

  • 2018.09.20 Thursday
  • 00:44

❖ これまでの成果を初めてのリサイタルで ・この演奏会は終了しました

・10月6日(土)午後6時開演

・エル・オオサカ プチ・エル

 

・すでにトピック[1814] でお報せしていました

 が、ユーフォニアムのために作曲した24年前の

 作品が、まもなく再演されます。

 

・ユーフォニアムとピアノのための

           「銀河はるか」(1994)

 

・ユーフォニアム奏者の小野康行氏は、大阪国際郵

 便局の要職に就きながら、これまで人生第2の職

 業として、ユーフォニアム一筋に歩んできた楽友、

 国内でのコンクールにも入賞され、技術が高く評

 価されています。僕の曲を含め邦人作品 を3曲プ

 ログラムに取り入れ、満を持して、とても意欲的

 なステージを企画しておられます。ピアノを受け持

 つのは、若い前川祥平氏で、聞けば彼は大阪芸大の

 卒業とか。すると、僕が勤務していた2005年より

 後の入学ですね。お二人のご成功を祈っています。

 

・10月というのに夏の暑さがぶり返した日でしたが、幸い雨にはならず、小さな会場が大勢のユー

 フォ仲間たちで埋まる盛会となりました。個人のリサイタルを開催するのは初めてだった小野氏

 にとっても記念すべき一夕だったことと思います。全体の選曲についても、意欲的な邦人作品が

 4曲、その他には皆の知っているメロディを、ユーフォ特有の誠実な歌心に乗せて、無理のない

 ステージでした。ユーフォ、ピアノともに、今後さらに技術を磨いて行かれると良いと期待して

 います。今回の僕の曲は、主題となる音型が上に5度跳躍して、さらに続いて5度跳躍する(結

 果的には、最初の3つの音で一気に10度跳躍)という、やや「嫌な」動きだったので、苦労され

 たかも知れません。次回には、もう少し気楽に演奏できる曲を提供しようと思っています。とも

 あれ、ご成功おめでとう!さらなる進展を祈っています。

 

 

[1824] 新しい作品の完成 (32)「ふるさと遠く」

  • 2018.09.19 Wednesday
  • 01:12

❖ 尺八と箏による序破急の3章

・今年の正月に岸和田・自泉会館で和洋合奏の

 演奏会があり、その時にピアノと尺八で伴奏

 する僕の歌曲が1曲演奏されたのですが、そ

 の時はじめてお付合いさせていただいた琴古

 流尺八奏者の小林鈴純師は、僕のいる豊中市

 の隣の吹田市で、父君とともに尺八の製管師

 としても活動しておられ、また僕の旧くから

 の楽友・折本師とも親しい誠実な演奏家です。

 

・その彼から程なく連絡があり、来年3月に予

 定されている郷里・加東市での演奏会のため

 に、尺八と箏による二重奏曲を書いてほしい

 とのこと、折から折本氏からの作曲依頼とも

 重なって戸惑いましたが、何とか頑張ってみ

 ようとばかり、お引受けしました。

 

トピック[1821] でお報せした折本氏への提供

 作品を完成し、譜面を浄書し、折本氏に送った

 のが8月20日、それから時を経ずして、この

 二重奏曲の制作に着手しました。

 

・幸い、作品のコンセプトと凡その曲のイメージが、その頃までにまとまりつつあったので、

 全3楽章からなるこの作品を月末8月31日に完成することができました。そして委嘱者の

 小林氏に9月6日に譜面を発送することが出来ました。

 

・誰の心にもある生まれ故郷への愛着、その想いの陰影を3つの章で捉えてみました。

 

・尺八と箏のための組曲「ふるさと遠く」(2018)

     1. 峠の別れ  2. 望郷の無言歌  3. 絆あらたに

 

・愁いを帯びた第1章から始まり、章を重ねるごとに音楽は活気を増し、第3章では

 故郷の人々との堅いきずなを確信して終わる「前向きな」流れに乗って音楽が進み

 ます。中間の第2章では、僕が高校時代の終わり頃に試みた習作の歌「ふるさとの」

   (1955)を、歌唱なしでメンデルスゾーンに代表されるような「無言歌」として尺八

 が演奏します(もともとは石川啄木の短歌3首につけた歌の曲です)。歌のパートを

 尺八で吹く小林氏には加東市が、僕には終戦の年まで生まれ育った福井市が、そして

 聴き手の方々にとっては、それぞれの懐かしい郷里の街が、浮かび上がる事でしょう。

 

・来年3月10日(日)にこの作品は加東市で初演の予定です。できればそれまでに、マ

 ザーアース社から出版したいと考えています。いずれまた、逐次お報せする予定です。

[1823] 既刊楽譜の紹介「高台寺 萩のえにし」

  • 2018.09.17 Monday
  • 22:48

❖ 副題は「豊臣秀吉をめぐる三人の女性」

・女声合唱組曲「高台寺 萩の縁」(2011)

                                    (作詩・小川淳子)

 

・新刊楽譜ではなく、すでに6年前に青花社譜房

 から出版された全約22分の女声合唱組曲です。

   豊臣秀吉の菩提のために、正妻ねね(北の政所)

   が京東山の山麓に建て、当時は萩の寺としても

 名高かった高台寺に寄せて、彼をめぐる3人の

 女性すなわち、正室ねね、生母なか、側室淀君、

 それぞれの想いを3楽章に振り当て、その前後

 に序章と終結章を置いた全5楽章の組曲です。

 

・1. 秋風の中で

 2. 妻の座・藤吉郎の妻ねね

   3. 母の願い・日吉丸の母なか 

 4. 不死鳥・秀吉の側室淀君

 5. 見果てぬ夢

 

前トピックでも紹介した楽友・細谷和子さんが

 率いる二つの女声合唱団の創立30周年のために

 委嘱を受け、詩友の小川淳子さんに諮って、尾張名古屋に関わりの深い太閤秀吉をテーマに、

 この組曲を完成しました。豊田市での初演は大成功で、その2年後の2014年11月には、名古

 屋市栄の中日劇場での「東海主婦のコーラス連盟・45周年記念演奏会」において、畏友・奥村

 晃平氏の指揮のもとで、約100名もの所属合唱員の皆さんによって、盛大に再演されました。

 この作品にとっては、たいへん光栄な思い出となりました。

 

・楽譜はすでに公刊されていて、パナムジカマザーアース社などで取り扱っています。

 (頒価:¥1,300+税)
 

[1822] 10月の演奏会(2)

  • 2018.09.17 Monday
  • 22:15

❖ 声楽の発表会で5作品を再演      ・この演奏会は終了しました

・10月21日(日) 午後2時開演

・コンサートホール/レ・マーニ (愛知県東郷町

         豊田西バイパス・真野人形店前)

 

・愛知県東郷町で二つの女声合唱団を指導されて

 いる細谷和子さんとも、旧くからのお付合いで、

 僕の女声合唱曲をこれまで何度も採り上げて

 いています。ことに2011年作曲の合唱組曲「高

 台寺・萩のえにし」は、両合唱団の創立30周年

 を記念して委嘱された作品で、細谷さんの指揮

 のもと、翌2012年11月に、立派な豊田市コン

   サートホールで初演され、成功を収めました。

 

・優れた声楽家でもある細谷さんのもとには、大

 勢の門下生がおられ、今年もこの日に発表会が

 持たれる予定ですが、今回は僕の作った歌曲が

 5曲も採り上げられ、それぞれの門下生の方々

 が歌ってくださいます。すでにお報せしたよう

 に、全音楽譜出版社から僕の作品が「千秋次郎

 歌曲集1」「千秋次郎歌曲集2」として出版さ

 れているので、その中から5曲を思い思いに選んで、歌われるそうです。

 

・「歌曲集1」から 「十七才」(1994)、「踏み絵」(2013)、「新薬師寺へ」(2014),

                              「ひろったえんぴつ」(1986) 

・「歌曲集2」から 「谷底の松のこと」(1989)

 

・僕は当日、他用があり会場へ伺えないのですが、来月上旬に一度、合同リハーサルの日に伺い、

 それぞれの曲に対する解釈について、作曲者としての立場から、何かお役に立つ事をお話しさ

 せて頂く予定でいます。細谷先生はじめ合唱団の皆さんと、久々に再会できる事が楽しみです。

 

・10月11日に、練習会場にとってある上記コンサートホールに伺い、皆さんの出来栄えを聴かせ

 て頂きました。「新薬師寺へ」を予定されていた方だけ、今回の演奏を取り止められましたが、

 残りの4名の皆さんが、細谷先生のご指導宜しく、それぞれ立派に歌唱を仕上げ、僕からは特に

 異見はありませんでした。作曲者としてのそれぞれも曲に対するイメージをお話しして、参考に

 して貰いました。また、今回の10名の出演者全員で、僕の女声合唱組曲「季節の旅びと」から

 3曲を歌ってくださるとの事で、それも聴かせていただきましたが、とても良くまとまっていて

 ご成功を確信して帰阪したようなわけでした。ご指導の細谷先生にお心からの感謝です!

 


 

[1821] 新しい作品の完成 (31) 「海を旅ゆく」

  • 2018.09.15 Saturday
  • 20:13

❖ あまり試みた事がなかった箏の独奏曲

・邦楽演奏グループ「邦ダッシュ」という三重奏

 団(トリオ)の一員で、箏も尺八もこなす折本

 大人樹氏から、新曲を委嘱されました。来年に

 予定されている氏の神戸リサイタルのために、

 箏のソロの曲を書いて欲しい、できれば神戸に

 関わりのある内容のものを希望、との事。さあ

 僕にとっては難題となりました。これまで、箏

 単独の、それも歌をともなわない器楽だけでの

 5分以上の独奏曲を、書いた事がないのです。

 

・また、邦楽と神戸をどのように結びつけるのか、

 僕の知るかぎり神戸といえば、源氏物語の須磨・

 明石の巻か、平家物語の敦盛・熊谷直実の一件

 などしか思い浮かばず、むなしく日時が経って

 しまったのですが、ある日、突然別の切り口が

 啓示のように現れました。

 

・漂泊の歌人とも呼ばれる若山牧水が、23歳の帰

 省のときに試みた中国地方への長旅、その時に

 詠んだ短歌が、歌集「別離」に収められています。

 ・山ねむる 山のふもとに海ねむる かなしき春の国を旅ゆく そしてこのすぐ後に、岡山県

 二本松峠あたりで詠まれた絶唱:

 ・幾山河 越えさり行かば 寂しさの終てなむ国ぞ 今日も旅ゆく  が収められています。

 

・中国山脈と瀬戸内海に挟まれたあの地方の情景が、目に浮かびます。上掲の最初の短歌に想を

 得て、「海を旅ゆく」という表題で、約5分半の独奏曲を、(A-B-A)-(C-D-C)-(A-B)-coda、

 基本的には3部形式の構成でまとめました。牧水がその1年前に知り合った女性への恋心が

 次第に深まりつつあった、若き日のやるせない情感、最終的には成就しないまま終った初恋

 ‥‥‥その青春の想いを、箏13本の絃に託しました。

 


 

[1820] 既刊楽譜の紹介「四季の花そして花言葉」

  • 2018.09.15 Saturday
  • 15:40

❖ 季節と花言葉のイメージで小曲を4つ

・新刊ではなく、すでにマザーアース社から出

 版されている市販の楽譜です。マリンバのパ

 ート譜が付いていないので、ご了解ください。

 

・日本の四季に添うかたちで、4つの楽章から

 構成されていて、全体としては、緩〜急〜緩

 〜急 という、バロック期の教会ソナタに似た

 組み合わせになっています。

 

・1‥春/桜草サクラソウ‥‥‥青春の始まり

・2‥夏/向日葵ヒマワリ‥‥‥光輝

・3‥秋/紫苑シオン‥‥‥‥‥追憶

・4‥冬/ポインセチア‥‥‥‥祝福

 

・各行の最後に記された言葉が、それぞれの花が

 持つ花言葉です。これにそれぞれの季節感を添

 えて、簡潔で叙情的な小曲(3分程の)を書き

 ました。4の曲については、トピック[1803]

 も解説しています。

 

上記のように、この作品の楽譜はマザーアース社から出版されています。お問い合わせ等は→

 電話:03-3455-6881まで(頒価:¥1,520 + 税)

[1819] 10月の演奏会(1)

  • 2018.09.10 Monday
  • 14:56

❖ 花言葉に寄せる1989年の愛奏小組曲   ・この演奏会は終了しました 

・10月7日(日) 午後1時30分

・紀尾井町サロンホール(メトロ麹町駅)

 

・昨秋11月に開催された「第2回東京タワー・

 文化フェスティバル」には、僕も新作を提供

 させて頂きましたが、その折に僕のマリンバ

 作品を演奏してくださった高橋治子さんが、

 今回「マリンバで奏でる世界の名曲」という

 タイトル、石田和男氏のピアノで、リサイタル

 を開催されます。

 

・ゆったりとした午後のひと時にふさわしい愛奏

 の曲を選んでおられるのですが、思いがけず、

 前回のフェスティバル絵で演奏していただいた

 僕の作品も、今回のプログラムに加えて下さっ

 て、しかも今回は組曲の全4曲を演奏されると

 の事、「世界の名曲」とは荷が重すぎますが、

 名曲に挟まれた息抜きの小品として、皆様に

 愉しんでいただければ、幸いだと思っています。

 

・マリンバとピアノのための組曲「四季の花そして花言葉」(1989)‥‥‥29年以前の拙い組曲

 ながら、全体で約12分に収まる聴きやすい作品です。すでに楽譜も出版されているので、次の

 [1820]において、内容を紹介させてください。ともあれ、お二人のご成功を祈っています。

 

・演奏会には伺えませんでしたが、その一週間前のリハーサルに立会わせて頂きました。4つの

 楽章それぞれの個性を、お二人とも能く把握されていて、作曲者としては何も言うことのない仕

 上がりでした。当日も盛会だった由、おめでとうございました!高橋さんには今後も、僕のマリ

 ンバ作品の楽譜を提供し、演奏会で採り上げていただこうと思っています。
 

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