[1907] 5月の演奏会(2)

  • 2019.03.23 Saturday
  • 18:55

❖ 本部振興会主催の春の公演       ・この演奏会は終了しました       

・5月30日(木)午後6時半開演

・渋谷区文化総合センター大和田

         伝承ホール(渋谷桜ヶ丘)

 

・我々の日本歌曲活動の数年前まで本部機能を

 果たしていた(現在も実質はそうですが)現

 在の名称「日本歌曲振興波の会」が主催する

 春の公演が、今年も開催される運びとなりま

 した。毎年の秋に開催される新曲を発表する

 「秋の定演」とは異なり、この季節には、当

 会で生まれた新作歌曲の再演を中核に、日本

 歌曲の名曲を取り揃え、出演する歌手にむし

 ろ重点を置いて、選曲を含めた全体の構成が

 行なわれます。

 

・たまたま今年は僕の3年前の歌曲が1曲、採

 り上げられる事になりました。

 

・「花水木の手紙」(詩・吉田義昭)(2016)

 

・哀歓に満ちた過去と決別し、この先の未来へと旅立とうとする人生の決意を、平易な言葉で

 むしろ爽やかに歌い上げる曲です。この曲を書いた2016年は、我々の会が経済的な見通しの

 もとで、法人組織を続けられなくなり解散を決断した年で、僕はその時の副会長の席にあり、

 心身ともに苦労を重ねた一年でした。法人組織としての最後の公演(秋の定演)で、この曲を

 初演、演奏者は当時からすでに会長を務めておられた本宮寛子さんでした。幸いにも組織の解

 散が無事に進捗し、3年が経とうとしています。2018年に出版した「千秋次郎歌曲集2」

 冒頭にこの作品を掲げた自分の想いが、また今回の演奏会で再演されるのは、大きな慶びです。

 

・この演奏会も別の予定が重なり、本番には伺えなかったのですが、その事が前もって判ってい

 たので、演奏者お二人の予定に合わせて本番の約1か月前に、西日暮里の練習スタジオに伺って

 仕上がり経過を聴かせていただきました。ピアノの片岡和子さんには以前にも、この会でお世

 話になっていますが、歌ってくださるソプラノの松岡薫さんは今回が初めてなので、とても期

 待して伺いました。中音域に声量がたっぷりあり、とても充実した演奏で、すっかり嬉しくな

 りました。出だしをあまり慎重に重くならぬよう、無音の空間に音がサッと何気なく割り込ん

 でくるように(モーツァルトのピアノ・ソナタがそうであるように)音楽を始めてほしいと伝

 えました。お二人とも、僕のイメージに添ってすぐに対応してくださるものですから、大安心

 して練習室を辞しました。すでに数日前に演奏会は終了しましたが、すてきな成果を収められた

 事と思います。後日送られてくる録音資料をいまは楽しみに待っています。お疲れ様でした!

 

 

 

 

 

 

 

[1906] 5月の演奏会(1)

  • 2019.03.23 Saturday
  • 16:43

❖ 和洋コラボの演奏活動、今年も堅実に  ・この演奏会は終了しました

・5月18日(土)昼15:00開演/夜18:00開演

・中目黒GTプラザホール(メトロ中目黒駅)

 

・実力のある邦楽・洋楽の演奏家が、この中目

 黒GTプラザを拠点に、演奏活動を続けておら

 れる東京インターアーツ目黒‥‥‥ひょんな

 ご縁で僕も、ごく初期の頃から仲間に加えて

 いただき、かなりの作品を提供もしくは新作

 して、今日に至っています。ことさら伝統に

 こだわったり、前衛を押し出したりすること

 なく、自然で日常的な感性で、和洋の垣根を

 超える創造活動が、とても素晴らしい事だと

 考えています。

 

・数年前から、これまでの寒い2月定演から

 爽やかな5月定演へと移行し、タイトルも

 和草(ニコグサ)コンサートと替えられ、

 いっそう皆さんの会らしい雰囲気が名題か

 らも伝わるようになり良かったと思います。

 

・今回演奏してくださる僕の作品は2曲です。

  (1)「海を待つ」(詩・宮中雲子) (1988)     (2)「深まる秋に」(歌・和泉式部) (2010)

 最初の作品はピアノ伴奏による通常の歌曲で、ソプラノの野村浩子さんが歌われます。

 「海を待つ」というタイトルはやや特異ですが「満ち潮を待つ」と言い換えれば問題ない

  でしょう。潮が引いた後の露わになった海の情景が、心象風景として描かれています。な

 つかしい想いに満ち、僕の好きな8分の9拍子で書かれている小品です。後者の秋の叙情

 を歌う作品は、もともとは三絃と箏による弾き歌いの箏曲として作曲されたものでしたが、

 今回は歌唱だけを独立させて、ソプラノの野村さんが歌われるという事で、従来の歌の旋

 律を書き改め、洋楽の声域に最適の別旋律に更新してみました。その意味では「改訂初演」

 となります。今回も充実した選曲のもと、ご盛会・ご成功を祈っています。

 

・演奏会当日は所用があって上京できませんでしたが、その10日前に東京に行き、皆さんの

 リハーサルに立ち会う事ができました。以前からのお付き合いで、ソプラノの野村浩子さん

 の演奏は安定感があって、安心していたのですが、今回はじめて聴かせていただいたピアニ

 ストの方も、邦楽重奏のお二人の方も、ともに優れた実力者の皆さんで、初回から問題なく

 あとは皆さんのそれぞれの解釈にお任せする事として、充実した気分でお暇しました。当日

 も聴衆の方々から好評を得られたとの事で、いずれ後日、記録映像などを拝見するのが愉し

 みです。皆様、お疲れさまでした!心からの感謝です。



 

[1905] 4月の演奏会(1)

  • 2019.03.23 Saturday
  • 15:15

❖ 今年は春秋の2回に分けて大阪と京都で   ・この演奏会は終了しました

・4月21日(日)午後2時開演

・ザ・フェニックスホール(大阪梅田新道)

 

・一昨年の夏、頼もしい盟友・内藤千津子さんを

 失いましたが、その後のオーディションによる

 審査を経て、4名の新人が会員に加わり、当会

 も新しい航路を進みつつあります。それで、今

 年はいつもの定演を春秋の2回に分け、今回の

 大阪公演に続いて、10月5日には京都アルティ

 において、新入会員のご披露をかねての秋季公

 演を予定しています。いつもなら、10名以上の

 歌い手の顔写真が並ぶところですが、少ないの

 はその理由からで、各自の持ち時間が増えた分、

 6名のメンバーが、それぞれ会心の選曲で舞台

 に臨む意気込みでいます。どうかご期待を!

 

・今回も僕の作品集からの、あまり長くない1曲

 をお聴きいただく予定です。

        「溢れる海」(詩・貞松瑩子)(2010)

   とても叙情的な言葉で書かれていながら、詩の

 真意を会得するには難解な貞松瑩子の幻視の世界、この詩も、愛着と畏怖とが一体となった

 自分の過去の記憶が、一度にフラッシュバックしてくる白昼夢を、きらめく夏の海の音楽に

 乗せて表現しています。明るく、それでいて恐ろしい破滅の予感‥‥‥ちなみに、この曲は

 名古屋で初演された後、関西で故・内藤千津子さんによって再演されました。今回は、彼女

 への追悼の思いを込めて、田嶋喜子さんが歌ってくださいます。

 

・チラシの基本色にふさわしい新緑の好天に恵まれ、久々のフェニックスでの公演は盛会裡に

 無事終幕しました。今回から我々の顧問になっていただいた青山恵子先生も東京から来て頂

 き、打ち上げまで付き合ってくださって、いろいろと厳しくも励ましに満ちた批評・感想を

 聞かせていただく事ができ、次回の秋の公演をめざし団結して進んで行く活力を与えていた

 だく事ができ、感謝しています。他にも東京から詩人の木下宣子さん、名古屋からは名古屋

 波の会の会長・伊藤晶子さんや長江希代子さんがお見えになり、たいへん心強いことでした。

 

・なん年ぶりかで再演してもらった僕の「溢れる海」は、楽友の田島喜子さんが、新しい解釈

 による見事な盛り上がりのある演奏で、この上ない再演でした。初演の時には、僕自身まだ

 全体のイメージが摑みきれてなかった、この貞松詩の世界が、実は1週間ほど前、僕の胸中に

 突如ひらめく啓示があったのです。詩人がひたすらに忘れようとしている、海へのこだわり、

 それはもしかすると、真夏の南の海に消えた自分の息子、戦死した我が子の思い出なのでは

 ないかと、気付いたのです。そうすると、処どころ不可解なこの詩句の意味がつながる事が

 判ったので、青山先生や田島さんとも話し合い、その解釈で彼女にも歌っていただきました。

 何か前々からわだかまりのあった事案が、ともかく、ひと山越えた思いで、ホッとしています。

 

 

 
 

[1904] 2月の演奏会(2)

  • 2019.03.23 Saturday
  • 04:30

❖ 故・宇野功芳氏の知遇を得た曲の再演      ・この演奏会は終了しました・事後報告です

・2月23日(土) 午前10時開演

・兵庫県立芸術文化センター大ホール

              (阪急西宮北口)

 

・関西合唱連盟と朝日新聞社の共催による第49回

 レディース・コーラス・フェスティバルが、先月

 兵庫芸文で開催され、たまたま参加合唱団の一つ

 「淀川リバコール」の皆さんが、僕の旧作の組曲

 からの1曲を選んで、歌ってくださったので、僕

 も当日に会場へ伺いました。各団体の持ち時間は

 出入り含めて7〜8分という厳しい制約の中で、

 この曲を採り上げていただき感謝しています。

 

・女声合唱組曲「こころの船出」(詩・八木重吉)

                 より、終曲「こころの船出」(1986)

 

・じつは、この合唱団を指揮している篠部信宏氏は、

 かつて僕が勤務していた大阪芸術大学の卒業生で、

 直接教えた事はなかったのですが、当時からバス・

 バリトン歌手として優秀な学生だったのを記憶し

 ています。その後十何年ぶりかで、遭遇する事があり、その折に「僕にも合唱作品があるので、

 よかったらトライしてみたら?」と出版譜を差し上げたのですが、時を置かずに、こうして公開

 演奏の場に利用してもらう事ができ、氏には感謝しています。現在関西を中心に多彩な演奏活動

 を続けられていて、先日の合唱ステージでも、統一のある美しいハーモニーが印象的でした。

 

・八木重吉の信仰詩篇によるこの合唱組曲は、僕にとっては、この作品が今は亡き音楽評論家

 宇野功芳氏の知遇を得るきっかけともなった駆け出しの頃の作物でもあり、思い出は尽きませ

 ん。また何かひとつ、新しい絆が生まれつつある予感に感謝するばかりです。

      

 

 

 


 

calendar

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< March 2019 >>

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM