[1730] 11月の演奏会(3)

  • 2017.10.07 Saturday
  • 08:18

❖ 満を持しての待望のリサイタル     ・この演奏会は終了しました

・11月24日(金)午後7時開演

・大阪フィルハーモニー会館(西成区岸里)

 

・演奏者のお仕事の日程や会場の都合などで、

 本来なら昨年実現していたはずの公演が今年

 にずれこんだ、との事ですが、久しく待ち望

 んでいた浅川氏ご夫妻によるリサイタルが、

 いよいよ来月に開催のはこびとなりました。

 

・オーボエとピアノのためのソナチネ

                「海の旗・陸の旗」(1987)

 

・記憶されている方もおありかと思いますが、

 この曲は、すでに昨年9月に浅川氏によって、

 大阪の秋のイベント「大阪クラシック」に組

 み入れられ演奏されています。→[1621]

 

・北新地に近いANAクラウンプラザホテル大阪

 ロビーでの、プロムナード・コンサートでした

 が、この時もロビーに溢れんばかり大勢の皆様

 に聴いていただく事ができました。来月のリサイタル会場は、浅川氏にとっては音の鳴り方

 の細部まで熟知しておられる「我が家」のホール、素晴らしい演奏が聴けるものと、今から

 期待しています。

 

・この作品の内容に関しては、上記トピック[1621] に詳しいのでそちらをご参照ください。

 

・四つ橋線の岸里とか南海本線の天下茶屋などの周辺は、これまで素通りするだけで、降りた

 事がなかったのですが、西成区役所のある場所柄だけあって、ニシナリというイメージとは

 程遠い落ち着いた街通りでした。ここに建っている大阪フィルハーモニー会館も、小ぶりな

 がらも、いかにもプロのメガネにかなう、オケ練習会場にふさわしい雰囲気のある建物でし

 た。やや気温が低かったせいもあってか、会場が満席にはなりませんでしたが、熱心なgo-er

 の皆さんが来られて、とても真摯で熱気のある演奏会となりました。オーボエのレパートリー

 なので、ふだん聴く機会の少ない演目が並び、僕にとっても良い刺激になりました。上記の

 「海の旗、陸の旗」、一言で言えば、作曲者冥利に尽きる、ほとんど完璧な演奏で、解釈の

 点でもまったく同感の、質の高い演奏でした。お二人に心からの感謝を伝えなければなりま

 せん。有難うございました!

 

・思い返せばこの頃は、僕も無調的な語法と、方や旋法的な語法の間で、いろいろ揺れていて、

 もともとの素質である調的和声の世界とどのように関わりをつけるか、迷っていた頃だった

 ように思います。久々に自分の旧作を、第3者の秀れた演奏で聴いてみると、いささかアマ

 ルガム的な音楽の響きが、意外に面白く自分の耳には聞こえ、変な言い方ですが、この頃の

 蛮気が今の僕にはもう失せてしまった事を、今更のように嘆息するばかりです。自分への励

 ましのためにも、ぜひ将来のCDにお二人の演奏を記録してほしいと願っています!

[1729] 11月の演奏会(2)

  • 2017.10.07 Saturday
  • 05:46

❖ 35周年記念コンサート<乾杯>                 ・この演奏会は終了しました

・11月18日(土)午後1時30分開演

・豊田市コンサートホール(豊田参合館10階)

 

・名古屋市と豊田市のちょうど中間に位置する

 東郷町、ここを活動の拠点とする女声合唱団

 「コール・イーリス」と「萩の会」は、共に

 細谷和子さんという秀れた指揮者のもとで、

 今回35周年記念演奏会<乾杯>を開催されます。

 

・僕自身もおよそ10年前から知遇を得て、これ

 まで、いわゆる「京都シリーズ」を始めとす

 る数多くの女声合唱作品を演奏していただい

 て来たのですが、なかでも忘れられないのは、

 30周年記念の委嘱作品として5年前に書かせ

 てもらった組曲「高台寺・萩の縁」(2012)

 小川淳子さんの作詩によるものですが、これ

 がきっかけとなって、2014年には東海主婦の

 コーラス連盟45周年記念演奏会でも採り上げ

 られて歌われました。

 

・あれから既に5年が経った今回の記念演奏会でも、新作ではありませんが、三重県に残る

 わらべうたによる27年前の作品を歌っていただきます。

 

・女声合唱組曲「伊賀路イガジのわらべうた」(1990)(採譜・東 仁己)

      1.ねんねしなされ  2.トントントン  3.お月さんなんぼ

 

・しばらくご無沙汰していたので、当日は僕も豊田市の大ホールに伺う予定です。活気ある

 素敵なステージが聴けることと期待しています。

 

・ちょうど日本が快晴と快晴の谷間に入ってしまった、寒い小雨そぼ降る日でしたが、強い

 寒気にもかかわらず大勢の方が来場され、1階客席800が満席に近い状況、大盛会でした。

 名古屋駅から名鉄直通の地下鉄で約1時間、豊田市は旧ナショナルの城下町・守口や門真

 と並ぶ、これまた財政豊かな城下町、名鉄豊田市駅の真横に巨大な豊田市文化行政のビル

 が建っていて、この10階から上がパイプオルガンを備えた密度の高い中規模の演奏会ホー

 ルでした。創立35周年に相応しい、意匠を凝らした3部構成のステージで、指揮者・細谷

 和子さんの指導が発声に行き届いていて、言葉のよくわかる日本語で(何を歌ってるのか

 聴き取れない日本語の歌は、いつもイライラします)最後まで気持ち良く聴けて楽しめま

 した。第1部で演奏された上記「伊賀路のわらべうた」は、ピアノをバックに女声2部の

 ために作ったもので、わらべうたの旋律や雰囲気を損ねないように、できるだけシンプル

 に(ピアノで花を添えて)作曲しているので、コーラスという観点からは、物足りない点

 もあるのですが、今回はそれが却って効果的で、前後のナンバーとの対比で、とても透明

 な響きの空間を作っていて印象的でした。帰り際に、部分的な初演を先月終えたばかりの

 組曲「季節の旅人」(2017) の譜面を差し上げてきました。5年後の創立40周年の時には

 皆さんにこの地で初演してもらえそうです。‥‥さあ、それまで僕も元気に過ごさねば!

[1728] 11月の演奏会(1)

  • 2017.10.07 Saturday
  • 04:31

❖ 大学勤務の頃を思い出す22年ぶりの再演  ・この演奏会は終了しました

・11月11日(土)午後6時開演

・ムーブ21イベントホール

      (地下鉄or大阪モノレール・大日駅)

 

・僕が勤務していた大阪芸大演奏学科を1993年

 学長賞を得て卒業し、そののちトゥジュール・

   SAX・クァルテットを結成して、演奏・教育の

 両面で大活躍の辻本剛志氏、今だに童顔が残っ

 ていて、つい辻本クンと呼びそうになりますが、

 僕が彼の師匠・前田昌宏氏のパリ公演のために

 作曲し、初演後は辻本クンにも何度か演奏会で

 採り上げてもらった僕のキャンパス時代の旧作

 が、このたび22年ぶりに再演されます。

 

・sop.SaxとPfのための「春花秋草図」(1994)

 

・紅梅vs白梅とか、風神vs雷神とか、右近の橘

 vs左近の桜とか、対照的な二つの事物を左右に

 配置して愛でるという、東洋伝来の美の形式が

 ありますが、緩急二つの楽章からなる本曲も、

 楽章1はうららかな陽光を受けて揺れている春の花を、楽章2は烈風吹きすさぶ荒れ野の

 秋草を、洋楽の響きの中に伝統的な日本的フシ回しを取り入れながら、情趣ゆたかに季節感

 を表現しています。それぞれの楽章が、どちらも時間的にはほぼ同じ4'30" に収まるのも、

   きわめて絵画的なバランス、と呼べるでしょう。

 

・かつて演奏学科での同僚だった前田先生や、学生だった辻本クンはじめ管弦打の教え子たち、

 放埓にワイワイ過ごしていた20数年前のキャンパスの思い出がよみがえり、懐かしい事です。

 

・夕方以降はかなり肌寒くなりましたが、辻本クンの出身地・守口市の文化事業の拠点として

 建てられたムーブ21イベントホールは、アットホームかつ「折り目正しい」演奏会場でした。

 心地よく響くホールで、第1部はピアノとのデュオを4曲、第2部は彼が中心となって結成さ

 れたエスパルク・サクソフォーン・アンサンブルの11名の仲間とともに、協奏曲などのアン

 サンブルを3タイトル、腹八分目の、聴覚にもほど良い量の「美食」でした。速いパッセー

 ジや豪勢な音量で決まる個所は、もちろん申し分ない出来でしたが、むしろ静かでしみじみ

 歌わせるサクソフォーンに、彼の真髄があるように感じました。僕の「春歌秋草図」も、松

 尾京子さんの的確なピアノと相まって、とても印象深い季節のスケッチになっていました。

 久々の再会が果たせて良かったです。今後もさらに、演奏と指導の両面で、良いお仕事を!

[1727] 新しい作品の完成 (25)

  • 2017.10.07 Saturday
  • 02:48

❖ 楽器紹介的な箏独奏の小品

前トピックに関連するのですが、箏に与えら

 れた持ち時間10分のうち、「新映六段」が

 約6分少々、あとまだ4分ほど箏の紹介に使

 える時間があるので、せっかくのチャンスだ

 からと、ソロ用の新曲を今回の箏奏者・福原

 左和子さんのために、即興的に作曲しました。

 技術的にはそれほど高度でなくて、しかし箏

 の個性が発揮できる内容という目線で、2日

 間ほどを費やし(その意味では即興でもない

 のですが)3分18秒の短品ができ、福原さん

 に感謝されました。

 

・箏独奏のための「桜落葉」(2017)

 

・外国の人たちは桜というと、あの華やかな

 満開の開花や桜吹雪をイメージされますが、

 秋が深まった頃の、時雨でしっとりと濡れ

 た地面で、幾重にも重なりながら、あの

 懐かしい桜餅の香りを漂わせている桜落葉、

 その想いを音楽に託しました。

 

・できれば将来、何か他の短曲とセットにして、箏独奏用の組曲にまとめようと思っています。

 考えてみると、これまで何曲もの箏のための作品を書いていますが、独奏曲を書いたのは、

 これが最初だったような気がします。‥‥‥箏の皆さんの役に立つものを提供したいです。
 

[1726] 新しい作品の完成 (24)

  • 2017.10.07 Saturday
  • 01:57

❖ 日本と北欧の民族楽器のコラボレーション

 

・今年の1月に「東京タワー文化フェスティバ

 ル」という、音楽を中心とする国際文化交流

 の企画があり、僕もそれに参加したのですが、

 第2弾として、今回は互いの国の民族楽器に

 よるコラボレーションをテーマに、ふたたび

 東京タワー特設ステージで、ワークショップ

 を兼ねた演奏会が持たれることになりました。

 

・主催者側からの要請もあり、僕は今回、北欧

 フィンランドの民族楽器カンテレと箏とのア

 ンサンブルの作品を提供することとなりまし

 たが、何しろ8月になってからの急なお話

 だったので、以前にも試みたことのある八橋

 検校「六段の調」をもとに、「新映六段」

   (Six-steps Collabolation for 11-strings

    Kantele and Koto) (2017)というタイトル

   のコラボレーションを9月13日に完成し、

   演奏者の方にお送りしました。

 

・カンテレをフルに活用した曲とはとても言えませんが、箏のズングリした音色に、カンテレの

 やや金属的で繊細な響きがからみあって、それなりに独特の音風景が展開するものと期待して

 います。両楽器の音量バランスをどのように克服するかも課題の一つですが、予定されている

 11月11日(土)の初演成功を祈っています。(チラシが入手できたら、改めてご案内します。)
 

[1725] 9月の演奏会 (1)

  • 2017.09.03 Sunday
  • 06:52

❖ 今は亡き詩人の居間での初演                 ・この演奏会は終了しました

・9月24日(日)午後2時開演

・重要文化材・杉本家住宅洋間にて

     (京都下京・綾小路新町西入ル)

 

・今年4月のトピック[1706]でお伝えしてい

 ましたが、杉本秀太郎氏の詩による歌曲が、

 故人の書斎だったご自宅の洋間で初演され

 る運びとなりました。

 

・「夏の終り」(2017) (詩・杉本秀太郎

 

・京都の中心部にあって、今なお江戸末期商家

 の姿を残している「ならや」/杉本家住宅は、

 重要文化財に指定されており、屋敷に配置さ

 れた庭園も、国指定名勝に指定されています。

 

・杉本秀太郎氏は、当家の先代当主だった方で、 

 書斎がわりにしておられた洋間にはピアノが

 据えられていて、千代子夫人ともども、氏も

 日頃はピアノを嗜んでおられたという事です。

 

・このピアノが(うっかり社名は失念しましたが)アップライト型の時代物で、しかも何と!

 フランス文学者で新京都学派の代表・桑原武夫氏から、秀太郎氏に贈られたものとか‥‥‥

 今回の演奏会は、別棟のモダンピアノではなく、故人の思い出深い、この古色ゆかしいピアノ

 のある部屋で、メゾソプラノの高崎和子さんが、杉本千代子夫人のピアノ伴奏で歌われます。

 

・なお、このほかに「千秋次郎歌曲集1」から2曲を歌っていただく予定です。

  ・「さよならの季節」(1989)(詩・印南長子)

    ・「チェロの四季」(2009)(詩・中島 登)

 

・今回の演奏会は「淨秀を偲ぶ小さなコンサート・三回忌供養として」というのが正式の名称

 で、故秀太郎氏の法名である無量院釋淨秀に寄せて、仏事の一環として、企画されています。

 大勢の方々の座席がまったく用意できないこともあって、今回は秀太郎氏を識る近親者のみ

 に限らせていただく私的な演奏会になりますが、作品の内容には関わりない事なので、将来

 チャンスを作り、公演の場でぜひ再演したいと考えています。

 

・このような場で、参集者の皆様に自分の曲を聴いていただくのは初めてでしたが、大商家の

 屋敷を夏風が気持ちよく吹き抜けるなかで、秀太郎氏夫人がピアノ伴奏を務められての演奏

 会が無事終了しました。秀太郎氏縁故の50名余のご年配の皆様がお越しになり、秀太郎氏の

   人生最後のメッセージとも受け取れる「夏の終り」の詩を、歌唱の形で味わっていただく事が

 できました。大きな御仏壇の扉も開け放たれていて、秀太郎氏にも聴いていただけた事と思い

 ます。三周忌ご供養の一端ともなれた事と、ようやく今、責務の重さから解放された気分です。

 千代子夫人はもとより、優れた解釈と演奏で今回の催しを最後まで盛り立ててくださったメゾ

 ソプラノの高崎和子さんにも、改めてお礼を申し上げます。

 

 

 


 

[1724] 10月の演奏会 (4)

  • 2017.08.30 Wednesday
  • 03:19

❖ 伝統邦楽の全国大会での委嘱初演             ・この演奏会は終了しました

・10月29日(日)午前11時〜午後6時

・奈良県文化会館国際ホール(奈良・登大路)

 

・すでにトピック[1702]でご案内の邦楽器合奏

 (歌入り)の新曲が、文科省をはじめとする

 公共機関の主催で、今年も秋に開催の予定で

 す。今年は奈良県がホスト県となって、全国

 の邦楽演奏団体からの参加を呼びかけ、北か

 ら南まで、今年は28の邦楽社中の皆様が奈良

 市での演奏フスティバルで競われます。

 

・ホスト奈良県で進行・応対を務めるのは、奈良

 三曲協会の方々、すなわち「お接待役」の重労

 働?に従事されるのですが(ご苦労様です!)

 ステージ演奏でも手抜かりはできません。今回

 を記念して委嘱の新作を発表される事となり、

 先般ご案内したように、僕の方へ作曲の打診が

 あったような訳でした。

 

・邦楽合奏のための「万葉やまと春から春へ」(2016)

 

・それが昨年暮のこと、すでに今年の正月に、完成なった上記作品の譜面を協会に郵送し、

 三曲協会の方で伝統的な「縦譜」に書き直していただき、演奏参加の希望者を募り、さっそく

 練習に掛かられました。希望者が多く、全体で80名ほどに絞られたとの事でした。初案では、

 指揮者を置かず、第1箏の一人に先導していただく積りでしたが、これだけの人数ではやはり

 指揮者が必要と感じ、僕の畏敬する邦楽作曲家の吉田興三郎氏が指揮をして下さることになり

 ました。去る7月9日の昼に、皆様の練習に立ち会わせていただいたのですが、特別に借りた

 天理教の大広間に入りきれなほどの、80名もの邦楽の先生方が集まっておられ、吉田氏による

 精確な指揮で、練習が始まりました。三絃だけでも20名もおられます。平素はお師匠さんの方

 ばかりですから、その日が音合せ初日だったにもかかわらず、見事なアンサンブルの響きが生

 れ、吉田氏の指揮に感謝しつつ、安心して会場を辞去しました。もう作曲者がいちいち立ち会

 う必要などなく、皆様に「丸投げ」するのが最もベストな成果を生むことと信じています。

 そして、本番のご成功を心待ちに期待しています。

 

・主催者も出演者も、僕のように作品を提供した末端関係者も、この記念すべき奈良でのフェス

 ティバルを楽しみにしていたのですが、運命のいたずらか当日は台風22号が関西に最接近する

 時刻と重なってしまいました。早朝から雨が降ってきて、風もやや強く、どうなることか心配

 でしたが、幸いにも、21号のような深刻な事態には至らず、夕方には雨も上がっていて、無事

 定刻どおりに終演を迎えることができました。わけても喜ばしい事に、秋田や茨城、広島や徳

 島など遠方からの出演者の皆様からの出演キャンセルが出ず、プログラム記載の全27ステージ

 が予定通りに進行したことで、邦楽の祭典と呼ぶに相応しい、雨中盛大な快挙となりました。

 19番目のステージで演奏された、上記「万葉やまと春から春へ」も、指揮者・吉田興三郎氏の

 邦楽器の特質を熟知されての的確な指揮のお陰で、今回最多の98名の奏者が舞台に勢ぞろいし、

 素晴らしい初演を行ってくださいました。作曲者としては「以って冥すべし」の境地、心から

 の感謝です。ありがとうございました!

[1723] 新しい作品の完成 (23)

  • 2017.08.29 Tuesday
  • 18:30

❖ 市民伝承オペラへの追加曲 2

前トピックの続きになりますが、肝心な第3回

 公演が来年3月に決定したことを書きもらしま

 した。つい先日、主要キャストを含む1回目の

 ミーティングがあったばかりで、チラシもまだ

 これから印刷という状況ですが、日時と場所は:

 

・2018年3月4日(土)午後2時開演

・かつらぎ総合文化会館あじさいホール

      (和歌山県伊都郡かつらぎ町丁の町)

 

・第2回から2年越しの再演、今回も台本に手直し

 があり、演出の防野氏も今回のを最終決定バージ

 ョンにしたいとの事。すでに書いたように、2曲

 のアリアが追加となり、2曲目が本トピックで紹

 介するソプラノ横笛が第1幕第4場で歌うもの。

 ‥‥‥もはや面会もしてくれない恋人・斎藤時頼

 への嘆き恨み、その激情がはっと悟りの境地へ変

 化して行き、みずからの血潮で石碑に和歌を記す

 前半幕切れのクライマックスとなるシーンです。

 彼女の心境の変化を、能面をつけた役者が舞うシ

 ーンと重ね、いつのまにか般若ハンニャの面がおだやかな女性の小面コオモテに変わる所作が

 見どころとの事です)。そして、再び相見える事なく横笛は、みずからもまた尼となり、仏道

 修行の道に進みます。すでに出家した時頼も、このさき高野山に入山、やがて滝口入道と呼ば

 れる高僧にいたるのです。‥‥‥この重要な舞台で横笛が歌うのが、今回のアリアです。

 

・横笛(ソプラノ)のアリア 「嵯峨の奥里」

 

・前半のクライマックスとなる場面なので、伴奏楽器を総動員して曲を作りました。といっても

 フルオーケストラではなく、フルート、尺八、箏合奏(2部)、電子オルガン、ピアノの6パ

 ートに過ぎませんが、動から静へ、暗から明へ、楽器の層と音色を変化させて、第1曲の完成

 後の8月17日に、約9日をかけて曲を完成しました。音楽がどの方向に進めば良いかは明確な

 ので、前曲ほど戸惑うことなく制作は進捗したと思います。あとは舞台の上で、横笛の歌唱と

 能面の所作とが、どのようにまとまって行くのか、演出の手腕に期待したいところです。

 

・来年の年頭ごろに、チラシができあがった時点で、再度ご紹介するつもりです。なお、演目の

 正式なタイトルは『第参回 紀州かつらぎふるさとオペラ "横笛の詩"/紀州かつらぎ・天野の里

 に伝わる 娘「横笛」の悲恋物語』というものです。

[1722] 新しい作品の完成 (22)

  • 2017.08.27 Sunday
  • 11:35

❖ 市民伝承オペラへの追加曲1

・和歌山県伊都郡かつらぎ町という集落には、

 ある若き女人の墓がひっそりと今日まで残っ

 ています。時は後白河法皇の院政の頃、源平

 の戦いが勃発する前の、平家全盛の時代。平

 重盛に仕える若き武将・斎藤時頼トキヨリが

 横笛ヨコブエという女性を愛してしまうので

 すが、家柄の違いを理由に父・茂頼モチヨリ

 の許しを得ることができず、若者は出家して

 後に高野山で滝口入道と呼ばれる高僧となり、

 再会も果たせぬまま、横笛もやがて尼となっ

 て高野山の麓の村で仏道の日々を送り、彼女

 が息を引き取った時、一羽の鶯となって高野

 山へ飛んで行ったという悲話が、平家物語に

 語られています。その横笛の墓が、かつらぎ

 町に残っていて、今日まで守り伝えられてき

 ているとの事。

 

・かつらぎ町在住の演出家・防野宗和氏が仕掛

 け人となって、この美しいエピソードを町民

 参加のオペラに構成しようという企画が、今

 から5年前の2012年に実現し、その時に指揮をつとめた河田早紀氏との繋がりで、台本を

 小川淳子さん、作曲を千秋次郎が受け持つ事となり、「紀州ふるさとオペラ」と名付けら

 れた2幕約2時間余のオペラを、かつらぎ総合文化会館という立派なハコモノの中で初演

 したのが2012年12月9日のこと、村人たちの役で、多くの町民の皆様の参加があり、片

 や、共催者としてかつらぎ町からの経済的な支援もあり、大成功を収める事ができました。

 

・その後も再演を望む声が町民の皆様から多く寄せられ、3年後の2015年3月22日午後に

 2回目の公演が行われました。指揮者が河田早紀氏から金正奉氏に替わり、主演歌い手も

 一部異同がありましたが、これまた大盛会の再演となりました。そしてまた2年が経ち、

 今回が第3回公演です。回を追うたびに、演出の防野宗和氏から台本の部分改定が加わり、

 今回も僕は音楽の一部手直しに加えて、2曲の追加アリアの作曲に追われました。さらに

 今回から箏合奏の皆さんが新たに伴奏アンサンブルに加わったので、従来のステージの中

 での出番を作ってあげるための工夫も必要となり、じつに7月半ばから8月半ば過ぎまで、

 仕事に掛り切りとなりました。折からの異常な猛暑に体調を崩してしまい、なかなか予定

 が捗らず、気付いたら祇園祭も天神祭も五山送り火も終わり、ツクツク法師の啼く季節に

 なっていました。幸い、総合企画者・防野宗和氏にはご迷惑をかけずに、楽譜「納品」が

 果たせたので良かったと思っています。この僕のブログ更新も、そのために遅れてしまっ

 た訳ですが、今後は、なんとか尋常な日々に戻れる事と期待しています。

 

・前置きが長くなりましたが、今回作曲を完了した2つのアリアの内の1曲目は、第1幕の

 第1場、いわばこの悲劇の発端となる場面、相愛の斎藤時頼と横笛のゴシップを、二人の

 侍女が陽気に噂しているのを、そこへ通りかかった時頼の父・茂頼モチヨリが聞きとらえ、

 さてはあのカタブツの時頼が身分高い姫君を見初めて、人の噂になっていると思い込み、

 我が家の名声も家運も高まることと有頂天になって歌う、父親のアリアです。

 

・斎藤茂頼(バリトン)のアリア 「ついに恋をした」 

 

・アリアの後半になって、これに侍女たちの歌が絡み、三重唱となるのですが、父は有頂天、

 事情を知っている侍女たち二人は、これは大変な勘違い、将来どうなることかとヤキモキ、

 互いの方向性が異なる重唱なので、作曲にとても苦労しました。明るい音楽と不安な音楽と

 を同時進行させる必要があるからです。しかし、途中で侍女たちがそっと去って行き、後は

 父が息子の将来を頼もしく(あくまでも勘違いなのですが)歌い納めるところで、このシー

 ンは終わり、次の父子断絶の壮絶なシーンへと続きます。作曲は別の委嘱作「旅はるか空い

 ろの夢」が完了した7月17日以降から始まり、8月8日に漸く完成しました。 
 

[1721] 10月の演奏会 (3)

  • 2017.08.27 Sunday
  • 10:26

❖ 豊かな想いに満ちた恒例のサロンコン  ・台風接近のため、前日になってこの演奏会は

                      中止となりました

・10月22日(日)午後2時開演

・ふたば楽器ショウルーム(宇治市木幡)

 

・年に1度、欠かす事なくリサイタルを誠実に

 開催しておられる戸田茂・文代のご夫妻、僕

 にとっても旧知の長いおつきあいです。何とか

 お二人のために新作を寄贈したいと思っている

 のですが、未だに果たせていません。ようやく

 例の法人解散のカタがついたので、来年の会に

 はなんとか間に合うように、と思っています。

 ヘビーでなく、「心の消化」にちょうど良い、

 そんな小品をプレゼントする積りです。オリジ

 ナルでなくても、しみじみとした編曲の佳品で

 あっても、受け取ってくださる事と思います。

 乞うご期待!

 

・今年のプログラムでも僕の旧作が1曲採り上げ

 られていて、感謝です。今から34年前に書いた

 マリンバとピアノのための3楽章のソナタ、洋楽

 の形式に従いながら、音そのものは伝統的な日本

 旋法を使う‥‥‥僕の音楽語法のひとつなのですが、まあ、その最初の試みをこの作品で展開

 しています。

 

・マリンバとピアノのためのソナタ「ささの葉は」(1983)

 

・「ささの葉は」というサブタイトルは後になって付けたものですが、それは、緩徐楽章に当た

 る第2楽章が、万葉集に収録された柿本人麻呂の和歌「ささの葉は みやまもさやに さやげ

 ども われは いもおもふ 別れきぬれば」‥‥‥恋人との離別の歌をベースに楽想を展開して

 いるからです。なお、それを挟む1楽章はソナタ形式、3楽章はロンド形式、ともに日本旋法

 らしからぬハイドン好みの快速な楽章です。お二人のご成功を祈っています!

 

昨年は急用ができてしまい止むなく欠席しましたが、今回はぜひ出席させていただく予定です。

 書き漏らしましたが、サロン備え付けのピアノは、1877年製のスタインウェイ、まさに古色な

 ピリオド・ピアノ‥‥‥これまた愉しみのひとつです。

 

・想定外の事態となり、とても残念でしたが、止むを得ないことでした。次回が何時になるか、

 まだお訊ねしていませんが、次回に愉しみをつなごうと思っています。

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